ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

衝撃

その日は、なんだかダメでした。 理由はわからないけれど、何につけてもダメな日。朝きちんと起きられたのにお腹が空いていなかったり、それでも朝ごはんを食べようとしたその器をひっくりかえしたり、やっとの思いで出社したらデスクの上には覚えのない仕事…

死ななくてよかったね

お盆、家族でドライブしました。リゾート地となっているところから少し外れた田舎道、高い山をのぞむ橋べりに車を停めて休憩。川端の道を歩くうちに、母が、あっ、と高い声をあげました。 「サルナシだよ、とって」 母より頭一つぶん身長が高いわたしが背伸…

しらないこと

しらないことって、まだまだいっぱいあるんだな。そうして、月に1度はしみじみします。まさに「しみじみ」が正しくて、新しい知識をゆっくり噛みしめて、脳にじんわり沁みこませるイメージ。今月は、「時計」でした。 新しい腕時計を買いました。 小さなころ…

春のきいろ、夏のきいろ

北海道の左上は、美味しいお米も自慢です。 日本海沿いの街から山際へ走ると、道の両脇が一面、田んぼにかわります。田んぼは、季節を映します。春は静かに水をたたえて鏡のように、夏は青々とした稲を揺らして、秋は一面黄色の海、冬は静かな雪原が広がりま…

いま何してる?

「これから、そっち行っていい?」 帯広に住む彼女は、出張で旭川に一泊した朝、そう電話してきました。帯広留萌間は5時間だけれど、旭川留萌間は1時間半。彼女と、ふだんよりずっと近いところにいます。 旅行が好きです。 知らないところへ行き、初めてのも…

秋がちゃんと

「さむっ」 会社をでて一言。すっかり日が暮れて空は群青。雲の合間から星がちろちろしています。糸くずの様に細い月が、ふいて飛ばせそうでした。七分袖のシャツから出た肌をさすって、気休めの暖。秋です。 北海道の夏は、お盆とともに終わります。 本州で…

わたしの味

ひとりぐらしなので、料理をします。 食材をそろえて台所にたって下拵えをして食器をあらって…しなくてもまあ生きてはいけるのだけれど、好みの味でおなかを満たしたいときがあります。「好みの味」というのは、たいてい「お母さんの味」。 自炊をはじめたこ…

とうきび

じゃがいも、とまと、きゅうり、なす。 幼いころ、小学校の畑や母がつくる家庭菜園で収穫した野菜です。陽が高くなるまえ、気温が上がりきらないうちに雑草をぬき、陽のかげる一日のおしまいにジョウロいっぱいの水やり。夏のあいだにコツコツと育てた作物た…

かえりみち

夜のかえりみちが好きです。 車を走らせて、道路の脇の民家の明かりを追い越しながら、自宅を目指します。民家には大中小の窓があって、カーテンがひかれていたりブラインドがさがっていたり、夜の明かりを遮るものがなくて蛍光灯や机のライト、タンスや本棚…

共通言語で

仕事柄、さまざまな方とお話させていただきます。もともと、よどみなく熱量をもって話をする人が大好き。夢中で言葉を紡ぐ熱量に憧れます。 もちろん、わたしに予備知識のあるお話ばかりではありません。生活していても、知りたいと思うことは能動的に調べる…

たのしみひとつ

わたしは朝シャワー派。 くせ毛なので、夜に渇かした髪をその状態で朝陽がのぼるまで保っていられません。少し早めにベッドから抜けでて、まずはお風呂。髪を洗い身体を流しながら、1日の予定とそれにあう服装を考え、それなら化粧は、靴は、と頭の中の引出…

水たまりを蹴散らして

ひさしぶりに自転車に乗りました。 車を点検に出してしまったので、その代車です。毎日出社していた格好は自転車に不向きで、ロングスカートのスリットから素足がでて、髪は風に煽られ視界を阻み、道にできた水たまりを避けるのもひと苦労です。気を抜いた瞬…

まだ見ぬまちへ

北海道に生まれて、北海道に育ちました。 出身は太平洋沿岸、大学進学とともに内陸の都市部へ出て、さまざまなところを旅しました。いまは北海道の左上、日本海沿岸に暮らしています。 この週末、行ったことのない地域への旅行を計画しています。 道内ほとん…

悪夢の間を彷徨って

雨が降っていました。 午前中から空をおおった重たい雲は、雨粒を蓄えて濃く大きくなっています。窓を開けてみるけれど風向きか湿度の高さか、期待したほどの涼しさはありません。うちわをパタパタやりながら事務机に向かい、うまく働かない頭を一生懸命に動…

音楽とともに

目が覚めました。 時計を見ると、アラームのなる8分前。最近は、休日でも決まった時間に目が覚めます。仰向けに寝るすぐ目と鼻の先で、レースカーテンが躍っていました。平日と比べてずいぶん穏やかな窓の外。車も人もゆったりして、気持ちを急かないので休…