ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

チン!

パチパチ、ジウジウ 朝の台所に、魚の焼ける匂い。焼き魚は、避けてきた料理のひとつです。魚焼きグリルの片付けが大変だし、匂いがつくし、下処理も面倒。けれど、一人暮らしをはじめて9年、20代も後半になってくると、焼き魚を食べたいときがあるのです。…

吐いて捨てるように

「こういう胡散臭い人が世界一嫌い」 友人からのメッセージ。吐いて捨てるように言う彼女の声まで聞こえてくるようで、思わず笑いました。 彼女とは、大学で出会いました。登校初日のオリエンテーション、ぎゅうぎゅうづめにされた講義室で、ぐるりと見渡し…

そういう気分

大学時代、妹と2人暮らしをしていました。 規則正しく学校に通う妹と、卒論の用事しかなくなり居酒屋バイトに通うわたし。生活リズムが異なり、妹が家を出る時間にわたしが起き出し、わたしが帰宅する時間に妹が居間のソファでうたた寝をしていました。 わた…

2人きりのパーティー

大学時代にした妹との2人暮らしは、楽しい思い出です。 規則正しく学校に通う妹と、卒論を残すのみとなって毎日のように居酒屋バイトに入るわたしでは、生活リズムがまるで違いました。朝、光を通さないじゃばらカーテンの向こう、妹が身支度する音で目を覚…

起きて半畳寝て一畳、天下とっても二合半

1LDKの部屋に住んでいます。家賃が手頃で立地もまずまず、もったいないくらいの部屋です。そう、もったいないくらい。 大学3年生のとき、妹が引越してきました。進学のために、わたしより3年遅れて実家を離れる妹。家賃も浮くので2人暮らししようということ…

物件

田舎には、一人暮らしに適した物件がわずかです。田舎で働く若いひとは大抵実家暮らしだし、単身赴任者には社宅があります。賃貸物件の多くはファミリー向けの間取りで、一人暮らしには割高家賃。だから、好条件のお部屋は人気です。わかってはいるのです。 …

お話できるなら

「お母さんは、植物の言葉がわかるんですよ」 それは正解ですが、でも、半分正解、というのが正しいでしょう。 母はお花屋さんに勤めていて、自宅の庭も綺麗に手入れしています。わたしときたら、剪定のしすぎで葉を無くしたり、水のやりすぎで枯らしたりし…

うるおう生活

「よう、ご機嫌いかが」 仕事を終えて帰るころには、家はまっくら。誰もいない室内はひんやりとしています。カバンを置いて、電気をつけて、コートを脱ぎ落として、彼らに挨拶を。窓際に並べたハナキリン、水木蓮に、今シーズンからハーブの寄せ植えが仲間入…

飛行機

「あっ、飛行機」 北海道の空の玄関口といえば、新千歳空港。このほか、道北なら旭川や稚内に空港がありますが、航路を考えると北海道の左上上空で飛行機を見ることは稀です。だから、実家までの帰り道、大きなからだにつけたライトをチカチカさせて、空の低…

サギのいる神社の町

観光地でもなんでもない町へ行きます。 よく人からは「どうしてそんなところへ行くの?なにがあるの?」と言われます。 それを探しに行くのです。 休日。天気が良かったのでドライブをしました。目的地は、いつも実家へ通う道のりにある町。特別なにがあると…

世界

「飲みに行こう!」 今でこそ初めましては得意な方だけれど、学生時代は本当にダメでした。どれくらいダメかというと、クラス替えをした年の1学期いっぱい、教室を移動したりお昼を食べたりする特定の仲間がつくれず、3学期でようやく、手放しに学校生活を楽…

新生活

肌寒い朝でした。 北海道の4月は、ようやく雪が溶けたくらいで、桜なんてまだ先です。春物のアウターが心許なく感じられます。道ゆく人はみな慣れた顔で一点を見つめて、おろしたての靴で片手に地図を見ながら歩くわたしを追い越していきました。 18歳、大学…

午前7時

朝の空気はひんやりと冷たくて、息が白く煙りました。でもそれほど寒いと感じないのは、まっさおな快晴と、そわりともしない風のおかげでしょう。午前7時。あちこちからどこかに向かって、車が走ります。6時台に出てくるつもりだったのに、寝過ごしました。 …

釣り竿自転車カメラ、春

春がぐんと近づきました。 わたしはカーテンを開けて寝ます。学生時代、はじめての1人暮らしで遮光カーテンを買ったけれど、陽の光を感じないといつまでも寝てしまい目覚めもすっきりしないことに気づきました。以来、寝るときはカーテンをくくっています。 …

ホルモンのせい、その歌のせい

なにもできない夜というのは、定期的に、前触れもなく訪れます。 仕事をしているうちは「お、きょうは調子がいいぞ」と思うのです。調子がいいから、帰ったらまっさきに化粧を落として、朝残した洗い物を片付けて、たまっている郵便物に目を通して、期日のあ…