ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

4時間くらいが

「あした、洗面台の交換にいってもいい?」 月曜日に大家さんから連絡。ど平日に明日なんて無理に決まってるだろと思ったけれど、案外すんなり半休がとれて、火曜日の午前中。いつもなら仕事をしている時間に自宅のソファに深く腰掛けて、洗面台を取り付ける…

幸せな人生

「まさか」 という嬉しいことが、人生に起こります。 でもそれは、 「まさか」 という悲しいこととセットです。 車で2時間かけて、講演を聞きに行きました。うっかり開演時刻を見誤って10分ほど遅刻。慌てて受付に向かうと、当日券が売切れ。前売り券を買っ…

祖母と母、母と私

「もう、おかあさんったら」 わたしのセリフではありません。わたしの母、つまり、母と祖母の会話です。 1年半ぶりの祖母宅。従兄弟一家が暮らしていましたが、兄弟はすでに家を出ていて、ふだんは祖母と叔母さんだけ。3年前に祖父が他界してから、立派だっ…

夜道と缶ビール

「こんばんは」 お気に入りの焼き鳥屋へ。テーブル席はがらんとしていて、カウンターに3人だけ。わたしよりひとまわりくらい年上だろう男性、同じくひとまわり年上だろう女性とふたまわり年上くらいの男性のペア。マスターに、女性の隣を案内された20代半ば…

共感

「絶対、あいちゃん好きだと思う!」 上司が興奮気味に言いました。聞くと、今回の取材相手。東京でお仕事をされていたけれど、ご実家の都合もあり早期退職されて地元に帰ってきたという男性でした。ひとまわりもふたまわりも歳上の男性。どこにわたしが好き…

うちの女って

「あいちゃんって、うちの家系にいないタイプの女の子よね」 久しぶりに会った親戚のおばさんに言われました。母の妹です。母は三姉妹の長女でわたしと妹の姉妹を産み、おばさんは三姉妹の末っ子で男2人兄弟を産みました。歳の近い従兄弟たちとは、長い休み…

荷解き

お出かけから帰ってきて荷解きをするとき、なんだか心がすっからかんになる気がします。 寂しい、とはどこか違う。思い出に浸るのでもない。ぎゅうぎゅうに詰め込まれた荷物を片っ端から納めるべき場所に納めて綺麗になっていくことには心地良い感覚があるの…

触れてみてわかること

猫が好きです。 犬だって兎だってハムスターだって好きだけれど、わたしにとっての猫への愛はずば抜けている気がします。 家のまわりに野良猫がいて、野良だから懐くことはないのだけれど、見かけるたび膝を折って「おいで」と呼びかける程度には気をやって…

故郷

「ふるさとはどうよ」 半年ぶりに会った父は言いました。 仕事やら何やらが忙しくて、あとまあ、実家に帰るのに後ろめたい気持ちもなきにしもあらずで、迎えたお盆。4時間ほどかかる実家を目指して、ひたすら車を走らせます。 いつもはそれほどでもないのに…

まわり道するひと、道草をくうひと

やるべきことがあります。 仕事、家事、サークルの作業。早寝、早起き、最低3回の食事。 考えるべきことがあります。 仕事のこと、プライベートのこと、将来のこと。昨日のこと、明日のこと、今日これからのこと。 日々、やるべきことをやり、考えるべきこと…

打ち上げ花火、会場から見るか?路肩から見るか?

ヒューーー…どおおおん 腹に響く音。わたしの肩も、ビクリと弾みます。まつ毛を撫でつけるマスカラを持つ手が揺れて、危ない危ない。うちの裏の港であがる花火は、毎年この時期、夏の終わりを呼び寄せるように盛大に行われます。暑さのために開けた窓の外か…

心からの言葉

「おっいいじゃん〜綺麗だね!」「ほんとだ!夕陽みたいで素敵!」子ども向けの工作イベント。ペットボトルを短冊のように縦に切りバラして、さらに3センチくらいに切ってからトースターで焼くと、くるんと丸まります。それをビーズのようにつなげてアクセサ…

木曜日の会

わたしは、ひとりでもわりと平気。 ひとりでドライブに行けるし、ひとりで飲食店に入れます。ひとりの休日ともなれば映画を借りて手間のかかる料理をします。だからでしょうか、決まってそばにいるような友だち関係はありません。 毎日いっしょにご飯を食べ…

夏の日常

「このあたりかな」 港はすでに人が集まりだしていて、あちらこちらでキャンプ用のイスをたてたりレジャーシートを敷いたり、味気ないコンクリートの地面が色とろどりに塗りかえられています。わたしたちも、岸壁にほど近い安全ロープの前に、アニメキャラが…

それほどわたしたちは

「ラーメン行こうよ」 飲み会。お店で飲んで、別れがたくて、わたしのうちに転がり込んだ二次会。夜はもう日付を変えていて、会話に飛び交う声はどれも呂律が怪しくふわふわしています。惰性で口に運ぶコップは結露でベシャベシャで、よくわからない味のする…