聴覚への乱暴
7月半ば、暑さも本番。ここからお盆にかけて夏らしい天気が続き、それをすぎるとぐっと秋めく北海道。エアコンを使うのがもったいなくて、家ではもっぱら、窓を開けています。自室は2階、車通りのある駐車場側に窓があるので、開けたまま寝ることもあります。しかし、開ける窓を間違えるとサイアク。決して枕もとの窓を開けたまま寝てはいけません。
朝。
日光を受けて起きたいので、カーテンをひいていません。すると、じわじわと明るくなる夏の空が、わたしの意識もするすると現実世界にひきます。目を開ければ、窓から吹きこむ朝の風が、レースカーテンを揺らす光景。しかし、それよりさきに刺激されるのは、聴覚です。
平日の朝。
ちっちつくつく、わあわあと夜明けをさけぶ鳥。道を行く人と連れられた犬の日常。決められたところへ急ぐ車が、タイヤを鳴らしアスファルトを擦って風を切ります。
休日とは、まったく違う、音に溢れた朝。わたしは夕方シフトなので、世間一般に比べ遅くまで寝ていられるのですが、平日は午前7時も過ぎれば、世界はすっかり動きだします。
窓の外からの音が聴覚を刺激して、まだ夢の世界を彷徨うわたしを、ぐいと強く現実世界に引き戻すのです。視覚はずいぶんとやわらかくゆるやかに現実世界を認識させるのに、聴覚はまったく乱暴です。それを、枕もと、寝ている頭のすぐ上でやられた日には、サイアク。
だから、いくら暑くても、決して枕もとの窓を開けたまま寝てはいけません。
聴覚への乱暴に耐えられない夏、平日の朝。