ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

グレープ餅

ひさしぶりに、グレープ餅を食べました。

ひさしぶりもひさしぶり、小学生以来でしょうか。通っていた小学校の向かいには昔ながらの駄菓子屋さんがあって、おかあさんからもらった小銭入れを携えて、友だちと向かいました。古い紙のにおいと、いつでも薄暗い店内、同級生のおばあちゃんがやっていて、「こんにちは」というと奥からゆっくりゆっくりやってくるのでした。

 

駄菓子というものに親しみがなかったわたしはアメやらガムやらを購入したけれど、友だちはこんにゃくゼリーやらヨーグルやら蒲焼さん太郎やら、味の想像がつくようでつかないものを買って、ビリビリ包装を開けて、パクパク食べるのでした。グレープ餅も、そうでした。

 

グレープ餅。手のひらサイズの駄菓子。15枠に仕切られたプラスチックケースに、赤ちゃんの小指の先のような真四角のお菓子がおさまっています。付属の爪楊枝で口に運ぶと、糖衣のしゃりっとした食感とともに、ねっとりと甘くグレープの香りがします。舌の上で転がしているうちにじんわりと溶けて、喉の奥に落ちました。

あの時は、友だちに分けてもらったひとつを食べたきりだったけれど、10数年を経て、15粒ぜんぶわたしのもの。パクパク食べると、なんだか砂糖の塊を口の中にかくまっているような罪悪感がしてカロリー表示を確認します。1パック60キロカロリーにも満たないということだけれど、でも原材料が水飴やら砂糖やらシロップやらなので、砂糖の塊に代わりはないのでしょう。喉に落ちるその感覚は言いようのない重さがあって、わたしには、駄菓子屋の前で友だちと交換しながら食べる、あの一粒で十分だなあと思いました。