ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

まごうことなき

暗い。

昨夜眠気に負けたぶん早起きしようとセットしたアラームはしっかり役目を果たして、けたたましく鳴りました。うんと伸びをして目を開け…たつもりが、まっくら。目覚ましを手で探り、盤面を照らすライトをつけるとまごうことなき午前5時。けれどその暗さは想像を超えていました。

ごうごう、ばしばし

窓の外でひっきりなしに音がしています。どうやら雨が降っているらしく、風も強いようです。布団を鼻の下まで引っ張り上げると、危ない危ない、その柔らかさと温かさに、開いた瞼がまた落ちそうになりました。

身体を起こして机の前へ。

朝早く起きてする勉強や作業が好きです。しんと澄んだ空気や、青白い朝日が差し込む部屋、その中で活動するわたしも新しく生まれ変わったような感覚がして、勉強や作業が捗ります。けれど、今日はそうではありません。

 

資料を読もうとするけれど部屋が暗くて文字が見えず、窓は雨風に激しく叩かれ大きな音がしています。澄んだ空気は強く降る雨にのまれ、青白い朝日はなく、朝は暗く沈んでいました。とはいえ、やらなければならないことはやらなければならないまま。仕方なく部屋の蛍光灯をつけました。

 

日が短くなりました。気温は20度以上。晴れの日が多く、木々の色づきもそれほど進んでいません。まだまだ夏に縋っていたかったのだと思います。時折強く吹く風とか、ツンと鼻を刺激する夜の匂いとか、力の限り鳴く虫の声とか、肌に強く触れる冷気とか。それは、秋でした。まごうことなき秋でした。