ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

教訓として

わたしが手に取る本は、もっぱらフィクション作品。あり得ないけどあるような、夢と現実の境をふわふわとただよう本が好きです。たまにエッセイも。作者の人柄があらわれる軽妙な文章に浸ります。ノンフィクション作品だって読まないことはありません。とはいえ、「読書」の母数が圧倒的に少ないことは否めませんが…。

 

唯一読まないのは、自己啓発本。どこの誰かもわからない人が説く仕事術とか生き方とか、興味がわきません。確かに、そういう仕事術があって、そういう生き方があって、そういう考え方があってそういうやり方があるかもしれません。でも、ないかもしれません。正解が知れないからこそ、無闇にそこへ寄りかかりたくないと思うのです。

 

自己啓発本をしきりに勧めてくる諸先輩型も苦手でした。この本オススメ、あの本は読んだ方がいい。そんな話になると、急に白けた気持ちになって、その人に対する興味が薄れてしまうのです。わたしは、その人の経験や想いから醸成されたお話を伺いたいのに、どこの誰かも知らない人間から借りた言葉なんて、必要でしょうか。

 

でも、そうして引いた態度をとってしまう自分もいやです。

わたしがきらいなのは「自己啓発本」であって、「その人」ではありません。

そう、言うなればそれは、思想の違い。

これまでの経験や醸成させた想いで自分を固め支えているわたしと、経験や想いに加えて、1冊の本で得た言葉を大切にするその人。そう考えると確かに、その人を支え一部となっているといっても過言ではない言葉を知りたい気持ちになります。

 

世の中にはさまざまな人があります。びっくりするような生き方があって、理解できないと思うようなあり方もあります。でもそれらひとつひとつを大切に、わたしという人間を支える糧として、尊重したいと思います。