ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

わたしの孤独に寄り添うのは

深夜。

仕事から帰るなり倒れ込むように眠ってしまったせいで、こんな時間に目が覚めました。窓の外はうっそりと暗く静かで、同じアパートの住人も皆寝ているようでした。そのまま朝を迎えても良かったのですが、なんだか胸の隅がすかすかして、スマホを手にとります。

LINE、TwitterInstagramSNSでは皆声高に、自らを主張します。彼らの投稿の間を縫うように、コメントするでもなくリアクションするでもなく流し見るわたしは、彼らにとって眠っているも同然なのでしょう。いえ、わたしの存在など意識下にもないというのが正解です。

 

投稿は流し見ることができるけれど、Instagramのストーリー機能は足跡がつきます。友だちのストーリーが3時間前に更新されていました。

きょうの、雨上がりの街の写真。鈍色の重たい雲の隙間から眩い陽光がさしこんで、街が青に沈んでいます。それを背景に流れる曲は、知らないアーティストのものでした。シンプルなメロディーと印象的な歌声に惹かれ、音楽アプリで名前を検索します。2、3曲聞いて、停止ボタン。やっぱりなんだか、違う気がします。

 

こんな夜を、26年、幾度と繰り返しています。おかしな時間に目が覚めて、おかしな孤独に襲われる夜。情報と人の存在だけを主張するSNSや、サビばかりが耳に残るJ-POPでは救えない夜。

 

そうだ行かねばならぬ

何はなくとも生きて行くのだ

 

深夜。

ひとりぼっちの部屋で、ひとりぼっちのわたし。その孤独に寄り添うのは、やっぱり彼の歌なのでした。

季節は次々死んでいく

季節は次々死んでいく

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