ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

小学生から読む高橋留美子作品

わたしは、「らんま1/2」でひらがな、カタカナ、漢字を覚えました。

父が漫画好きで、実家の本棚には「北斗の拳」やら「こちら葛飾区亀有公園前派出所」やらがありました。力強い線で書き込まれたそれら作品は、小学生になりたてのわたしには少々刺激が強く、だからこそ、高橋留美子先生が描くやわらかい人物画のタッチに惹かれました。幼稚園でもらってきた絵本より1つ上の段に並んだ漫画のなかから1冊、たまたま手にとったのが「らんま1/2」でした。ラブコメとかSFとかスポーツとか、漫画のジャンルさえわからなかった6歳のわたしは、おもしろおかしいストーリー、キャラクターたちの魅力的な表情や動き、細やかな感情の変化にあっという間に魅了され、全38巻を読み終えると、隣に並んでいた「うる星やつら」を読みました。それらも全て読み終えるとまた、らんまを読み、うる星やつらを読み…何周したかわかりません。そのうち自然と、ひらがなもカタカナも漢字も読み書きできるようになりました。

 

大人になってから、また、高橋留美子作品を読みたいと思いました。でも、何度も読んだ らんま も うる星やつら も、冒頭1ページ目からすぐにストーリーが思い出されます。新鮮なワクワクドキドキをもって高橋留美子作品を読みたいと思って買いそろえたのが「めぞん一刻」でした。

当時は、「犬夜叉」がすでに人気を博していたし「境界のRINNE」がアニメ化されていました。でもわたしは、1980年代に連載された「めぞん一刻」を読みたかったのです。

擦り切れたカバー、陽にあたって茶けた紙、何度も読み返されてスカスカになったページ。それは、まだ身長がたりなくて、手を伸ばしてやっと届いた1段上の本段からとった「らんま1/2」と同じでした。新装版ではなく、発売当時の中古本を買いそろえたのは、わたしのこだわりです。

 

今週のお題「買いそろえたもの」