ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

地域ことば

方言というのでしょうか。この地域に来て初めて耳にした言葉があります。わたしは道南出身で、道北、日本海側の通称・北海道の左上に暮らして6年目。ようやく、地域の方にも住民として認められた感があります。それでもやっぱり、地元と移住者の違いを感じることがあるのです。

 

ク↓マとかカ↑ズノコとか、標準語にはないイントネーションで話す地元の方には「漁師町だから、やっぱり浜言葉の訛りがあるんだなあ」と思いますが、単語として初めて耳にする言葉は「おなじ北海道といえ、方言が異なるのだろうか」と不思議に思います。

 

たとえば「雪投げ」。

わたしは生まれてこの方「雪かき」しかしたことがありません。でも、この地域には毎晩遅くから除雪車が行き交い、一般の人も利用できる公共の排雪場が開設されます。吹雪に見舞われ、朝起きてみれば車がすっかり雪のなか、なんてこともある北海道の左上。そりゃ、「雪を投げ捨て」たくなる気持ちもわかります。

 

「そろばん道」もこちらに来て初めて聞いた言葉です。雪が踏み固められた車道で、ボコボコと凹凸ができ大変走りにくい状態を指します。なんとも、よく言ったものです。道南では雪が少ないので、道路に雪が積もり圧雪状態なんてことは稀。タイヤがとられ大きく揺れる厄介なそろばん道は、道内でも雪が多く降る地域特有の悩みです。

 

異なる環境下に生まれる、聞き慣れない言葉たち。特に北海道の左上の冬は、道内でも滅多に見られないほど厳しいので、その状況を表現するために言葉が生まれるのは頷けます。

そんな冬も、もうすぐおしまい。きょう、雪が溶けた脇の道でふきのとうを見かけました。北海道の左上で、春を待っています。