ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

君は永遠にそいつらより若い

朝5時。映画を観ていました。借りてきた映画を前日から連続で数本観ていたのですが、退屈なホラー映画に日付がかわったところで寝落ちして、朝4時に起き出して続きを観てやっぱり退屈だったとディスクを交換して、時計を見たら朝5時でした。見始めたのは日本のミニシアター系。タイトルが印象的で、おそらく、これほど印象的な言葉なのだから劇中で登場する台詞だろうとわくわくしながら観ていました。観ていたら、思わぬところで登場した台詞に、拍子抜けしました。

「君は永遠にそいつらより若い」

なんだか、共感しませんでした。そこでその台詞かよと思いました。きっとわたしは、その状況でその質問を投げかけられて、そうは言いません。

 

わたしがこの映画を作るなら、この素敵な台詞をもっと上手く登場させられると思いました。思ってすぐに、考えなおしました。やっぱり、わたしには無理です。

 

映画全体に流れる空気。夏の夜の飲み屋街のにおい、冬のぴりっとした冷たい空気。騒がしいのにどこか冷たい印象の学食。楽しいはずなのに全員が楽しいわけじゃない飲み会。カフェバーで飲む甘ったるいアルコール。バイト先のどうでもいい会話。白むカーテンの向こう側を見ながら聞く、彼女の声。

そこにはまさしく、数年前に浸った大学時代の空気がありました。あの、何かを目指しているようで何者でもない、気がかりと焦燥の追いかけっこみたいな感覚。それを味わわせてくれるこの映画がそう言うのなら、それが正解です。

 

朝7時。映画を観おわってベッドにごろりと横になると、ぱたぱたと雨の音に気付きました。そういえば、夏の朝にしては窓の外が薄暗いようです。これがピーカン照りの晴れの朝だったら、社会人のわたしは絶対にそんなことしません。けれど、雨が降って薄暗くてじめじめして、そしてわたしは、永遠にそいつらより若いのです。すっかりぬるくなったアルコールを煽って、もう1枚、デッキにDVDをいれました。