ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

きらきらのお砂糖

どうしても、パンを食べたくなることがあります。

パンについて語らせたら、仲のよい友だちもちょっとひきつった笑いを浮かべるほど、パンに対する熱量は高めです。どうしてもどうしても、パンがたべたい。それが、きのうのお昼でした。

 

昼すぎに用事を終えて、ランチを思い浮かべながら帰路につきます。帰れば冷凍のごはんがあるし、おかずもいくらか作り置きしています。けれどそのとき「おはぎ有ります」ののぼりをなびかせるパン屋さんが目に留まったのです。パンが食べたい。その衝動が抑えられませんでした。

 

「いらっしゃいませ」

緑色に塗られた木製扉を開けると、ふくよかな女性がレジの向こうで言いました。まだ13:00すぎだというのに、残るパンは数個ずつ。でもわたしはパン好きです。限られた種類のなかで悩みます。「おはぎ有ります」の旗をあげるくらいだから、餡子が美味しいに違いありません。マロンブレッドは季節を感じられてよいけれど、その隣の白花豆ブレッドもつやつやして美味しそう。4種のチーズピザは新発売のポップで彩られ、その隣でぽっかり口を開けるコロッケサンドが食欲をそそりました。冷蔵ケースには一口大のドーナツや、チョコレートコーティングが美しいチョコエクレア。クリームチーズとチキンのベーグルサンドの断面も綺麗です。

 

悩んだ末にトングで持ち上げたのは、こし餡ドーナツ。まんまる狐色のドーナツにお砂糖がまぶしてあります。さらさらではない、粒の大きなグラニュー糖。それが、窓から差し込む昼下がりのうららかな陽のひかりを反射して、きらきらしました。大正解の選択を確信しました。