ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

冬に向けて

空が高い。細切れのうろこ雲がでて、お天気だけれど風は冷たくて、朝晩は一枚羽織らないと寒いほど。

冬が近づいています。

 

最近、実家に帰ろうかと悩んでいます。

古い一軒家を借りての一人暮らしし。本当はシェアハウスなのだけれど、同居人の実家が近くにあるので、ふだんわたしはこの広い家に1人きりです。気ままな暮らしですが、これからやってくるのは寒く長く厳しい冬。我が家の庭は家一軒ぶん建つほど広くて、そこの雪かきプラス、隣近所のおばあちゃんたちのぶんを考えるとどうにも気が滅入り、実家に避難しようかというわけです。まあ雪が降る間の12月から3月、3ヶ月ほどでしょうか。

 

実家に帰るということを考えます。

名案に思えるこの考えですが、わたしに残っているほんのわずか冷静な部分が警鐘を鳴らします。

実家をはなれて10年。そのあいだに実家は父と母だけになり、妹が戻ってきて、犬と猫が家族になりました。わたしはその間を実家から離れ、1人きりで過ごしてきたのです。たまに帰省すると、父と母と妹の力関係に気をつかわずには平穏に暮らせないし、いつのまにか犬が家族カーストの最上位にいるし、猫はわたしをそのへんに生える鬱陶しい雑草くらいに思っているでしょう。(目障りなネズミくらいには思ってくれているかも)

 

わたしは未だに困ったことがあると母に泣きつくし、妹には人生の先輩のような気持ちで相談するし、父と飲み交わすお酒が好きです。でも、もしわたしが、出来上がった実家の暮らしに足を踏み入れたら、実家で暮らす家族にとってもわたしにとってもハッピーでない気がします。

わたしが実家に帰る案を母に話すと母は喜んで高い声をあげましたが、その声がわたしのなかで、がらんどうの部屋に反響するようにカラカラと寂しく響いたのでした。

 

実家はたまに帰るくらいがよいのかもしれません。でもこの冬をどう越すかは、大きな課題としてわたしの目前に横たわったまま。冬が刻一刻と近づきます。