ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

大丈夫じゃない

「どうしてる?大丈夫?」

最近、大丈夫じゃありません。大丈夫じゃないので大丈夫じゃないなりに怠惰な生活をしています。仕事は必要最低限、食事も必要最低限、家事も身だしなみも必要最低限。完全にすべてを手放せないのは、手放せないようになっているからです。

 

「ほら、あいちゃんも飲みなよ」

必要最低限のバイト先で、お酒を勧められます。マスターまで勧めてくれるのでお言葉に甘えて着席。居酒屋のカウンターでは大丈夫も大丈夫じゃないも関係ありません。ただちょっと早めに切りあげて、缶ビールを1本だけ買ってちびちび飲みながら1人きりで帰ります。

 

「そう思えるうちは大丈夫!」

わたしの鬱々とした様子を案じた先輩からのメッセージ。大丈夫じゃないっていってるんだから大丈夫じゃないんです。でもメッセージそのものが嬉しくてちょっと強がって見せると、前向きな言葉。だから、大丈夫じゃないんだって。今度ごはんに行く約束をさせていただきました。

 

「夜遅かったの?大丈夫?」

友だちのメッセージ。先日2人で出かけたときに「大丈夫じゃないかもしれない」とわたしがうちあけて以来、たびたびメッセージをくれます。彼女だって忙しいだろうにと「そっちこそ大丈夫?」ときけば、ありがとう、ありがとうと応酬。お互いにもたれかかっているようです。どちらかがその役割を放棄したら、どうなってしまうのでしょう。

 

「どうしてる?大丈夫?」

極めつけは、母からのメッセージ。昨夜21:00頃にきたメッセージに既読をつけずにいたら、翌日12:00頃に電話がかかってきました。さすがに半日足らずでの安否確認は過保護すぎ…けれどこうして、いろいろな人に気にかけてもらっていることを実感します。

 

しかし、どうにも、それらが「大丈夫」の理由にはなりきれません。わたしはいま、大丈夫じゃないのです。ただ完全にすべてを手放せないのは、手放せないように気にかけてくれる人たちがいるからです。