ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

ライブDVD

「誰にすすめても、誰も聞いてくれなくて…」

チラリ、と視線。そうあからさまに言われては、仕方ありません。

「じゃあ、わたし、聞きたいです」

にんまり笑顔。まったくもう。

 

最近、ちょっと聞きかじった曲に惹かれ先輩に話すと、大ファンだったらしく3日に1回布教されています。言われるがままに他の曲も聞いてみたけれどいまいちハマらず、「はあ」とか「ふうん」とか気の無い返事しかできませんでした。でも先輩は諦めず、今日ついに、ライブDVDを勧めてきたのです。ふう。

 

わたしは、ライブDVDを見ません。それがたとえ好きなバンドのライブであったとしても、すすんで見ようとは思いません。

ライブは好きです。半年前からチケットに応募して、当落を待って、コンビニなんかで発券して。整理番号を確認して、当日まで貯金をして、どのグッズを買って、当日どれを身に付けようか悩んで。物販列、入場列、並んで待つ時間も楽しくて、入場して、いよいよ開演を待つ、あのソワソワ感。ライブに至るまでのすべての瞬間を愛しています。愛しているからこそ、辛いのです。

職場と自宅を行き来するだけの日常に入り込む「ライブ」という非日常。それは代わり映えのない日々の「ご褒美」とも言えます。半年前からじわじわと心身の準備を整えるくらいがちょうど良い。だから「ライブDVD」なんて、そんなに気軽にお手軽に「ご褒美」を放り込まれたら困ります。身に余る幸せに高揚した気分はおさまることなく、急に持ち上がったテンションに身体はついてゆけず、翌日以降、おかしなテンションとおかしな筋肉痛を引きずることでしょう。キケン、ライブDVD。

 

でも、先輩がそうまで言うのなら見るしかありません。まったくもう。