ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

あなたの世界では“そう”なの

生きている限り世界は広がりつづけていて、その広大な可能性に、いつも驚かされます。驚かされたのちに笑顔になる世界もあれば、眉根を寄せる世界もある。先日は、眉根を寄せました。 「あなたの世界は“そう”なの」 そうも言っておかないと、やっていけない…

一般国道40号

アクセルを踏むたびに鼓動が高まる道。 なんの変哲もないバイパスは、片側一車線で信号はなく、みなスピードのままに車を走らせます。周囲は山。たまに開けたかと思えば草がまばらに生えるばかりの野っぱらで、鹿がひょっこり顔を出すたびにハンドルを握る手…

オレンジ

ここ数日、北海道の左上はお天気が悪くて、雨がふったりやんだりしています。雲が出ているので、いっそう早く陽が暮れます。 今日もそう。 「雨が降る予報じゃなかったんですけどね」 同僚は言うけれど、路面はしっとり濡れて黒くなったまま、渇くことはあり…

におい

においがしています。 ずっと、母の使う洗顔石鹸のにおいがしていて、ずっとしているということはにおいの元はわたしなのだろうけれど、実家に帰ってその洗顔石鹸を借りたのは、もう3日も前のことでした。その間に顔を洗ったり風呂に入ったりしているのだか…

いけない

寝てしまいました。 夜の長距離ドライブは眠気との戦い。戦いに、負けました。 休日のおでかけ、明日は仕事とつく帰り道。まちの中では、眠気を感じることもありません。すれ違う車、追い越していくバックライト、角を曲がり、信号が点滅して、アクセルとブ…

あかるい道のり

地元に帰るときは、たいてい夜です。 移動の時間が惜しくて、仕事おわりに車を走らせます。だから何度も通った道のりは、記憶のなかでいつも夜。 等間隔に並ぶ街灯、すれ違うヘッドライト、まばらに灯る家々の明かり。 夜ひとりで走らせる車から見るのは、昼…

暮らしていかねば

すごく良い映画でした。 2時間、映画館のふかふかの椅子に身体を沈めて、そのあいだにずるずると、作品に取り込まれていくようでした。あと2回見たいと思いました。あと2回見れば、取り込まれてしまったこの作品のどこかに、わたしなりの答えが見つけられる…

爪、すてきですね

1年半ほど、ネイルをつづけています。 プチプラポリッシュのセルフネイルだけれど、下手の横好きも高じるもので、週に2度ほど爪を塗りかえます。色やデザインをかえるだけで、服装や化粧、果てには気分もかわります。 ネイルをはじめた当初は、レッドやダー…

胸おどる駅

北海道一の都市、札幌には、地下鉄があります。45にのぼる駅、0時まで走る電車は、人々の主要な移動手段です。 わたしも、大学時代は地下鉄をつかっていました。眠い目をこすって一限に通った大学、だるいだるいと思いながら出勤したバイト、胸をばくばくと…

日曜、朝イチ、がらがらのシネコン

大好きな監督の新作を見るために、映画館へ行きました。北海道の左上には、映画館がありません。片道2時間のバスに揺られて、札幌へ行きます。 これまで監督の作品は、ミニシアターでの上映でした。オレンジ色の照明が薄暗くて、椅子の座りがイマイチ悪くて…

信じられないほど

眠い。 春眠暁を覚えずとはいうけれど、秋眠も暁を覚えないのでしょうか。 認めざるを得ないほど秋です。 朝晩ばかりではなく、日中にも上着を羽織らずにはいられなくなりました。肌色のストッキングも黒色のタイツに代わり、車で出かける際には、うすくヒー…

しずかに

「それでは、イベントスタートです!」 わたしたちが企画したイベントが、無事開催に至りました。いえ、無事ではありません。天気が危ぶまれ、翌日に延期。朝起きたときから空はパッとしなくて、でも今さら中止はできません。降ってくれるな、どうか降ってく…

初心者

「なし食べる?」 お土産屋さんで働いている友だち。秋のこの時期、隣町の果樹地帯からくだものが入るそうです。 「家にまだ前もらったやつがあってさ。あ、ナンバンは?」 ナンバンはくだものじゃないじゃん、なんて言いながら彼女が持つふくろを覗きこむと…

かぼちゃのなか

公園で、かぼちゃを彫りました。 10月なのでジャックオランタン。隣町の農家さんからいただいたかぼちゃです。タネを食べるかぼちゃで、 「ガワなら持っていっていいよ。タネさえかえしてくれればいくらでも」 イベントに展示するために、会場となる公園で、…

おいしいビール

はじめてのビールは、往々にして不味いもの。けれど多くの大人は、飲みの席で腰を落ち着けるそのまえに「ビール1つ」と注文をすませ、手拭きを広げるうちに到着したビールジョッキを傾けて、ごいごいと喉を鳴らします。不味かったはずのビールは、いつのま…