ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

まだまだ

3年目に突入する包丁を、新しく代えました。

これまで使っていたのはセラミック。錆びないから、1人分の食事を気分で作る程度だからと使い続けてきましたが、新年度を機に世代交代です。
新しいものはステンレス。ギラギラして、刃がストンと落ちます。やはり包丁は切れ味の良いものに限ります。

満足して早速料理。
大根も、シュルンと皮剥き、トトトと千切り。切りづらい包丁で慣れていた作業は、切りやすい包丁になれば格段に効率が上がります。刃先がまな板を打つ小気味好いリズムに、鼻歌がまじった矢先のことでした。

スクッと、中指の第二関節当たり。
痛いと思った時には遅い。
たしかに、刃の入る感触がありました。恐る恐る目をやって…けれど、曲げても伸ばしても血の一滴も流れません。そういえば以前の包丁も、多少刃先が当たったところで傷などつきませんでした。切れ味如何に問わず、人の肌とはわりと丈夫だなとひと安心。

すっかり千切りされた大根は、美味しい味噌汁になりました。

さて、洗い物。
スポンジに洗剤をのせて、お湯を出して、中指第二関節あたりにチリリと痛み。
見てみると、赤く一筋、血が流れていました。水を受けて切り口が開いたのです。なるほど、傷はしっかりついていました。

慣れたと思ったいつもの作業。
お手の物と鼻歌まじりでいれば、
思わぬところで痛みが走る。
まるで、
まだまだ甘いぞと言うように。

『人生』にも、案外似たところがあるなあとふいに思った社会人3年目。

血は、洗い物を終えるころにはすっかりしっかり止まっていました。