ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

そういう気分

急に、予定がくるいました。まちあわせの1時間前に、4時間の後ろだおし。それはないじゃん…家を出る前だったのがせめてもの救い。スカートを脱いで、パンツとサンダルコーデに変更。ヒールサンダルを履くと、すれ違う大抵の人より頭がとびだしてしまって、田舎では尚更で、威圧的なために滅多に履かないのですが、きょうは、そういう気分。

サンダルを履くなら、ペディキュアを塗らないと。

普段は夜、時間のあるときにするネイルを取りだしました。

 

窓の下で、三角座りをしながら、ハケを動かします。ツン、と鼻につくシンナーのにおい。みずみずしい緑みたいな外の香りに混ざって、消えました。

やわらかな風がレースカーテンを揺らすので、扇風機はいらないくらい。ふうふうと舞う間から、すっかり晴れた空の青がのぞいています。カモメが過ぎていったと思うと、向こうのほうで、2、3羽クウクウ言うのが聞こえました。休日の朝、車通りは穏やかで、風の音、鳥の声、遠くで声をあげる犬は、どこの子だろう。

そういえば、長袖長ジャージだった部屋着は、いつからかノースリーブ半ズボンになりました。風がふわ、と肌を撫ぜていきます。このぶんなら、ネイルもすぐかわくでしょう。

冷蔵庫に、きのうもらったサクランボがあったんだ。色の濃い”サミット”と、まんまる小ぶりな”佐藤錦”。ぷるんとツヤのある身に歯を当てるとじわり果汁があふれて、ああ、2週間ほど前にいただいた初物のサクランボから、随分甘くなったと気づきます。酸味のあるサミットと、ほんのり甘い佐藤錦なら、わたしは、佐藤錦が好き。きっと、昔母が運動会のお弁当に入れてくれたサクランボは佐藤錦。甘みも食感も、北海道の左上で採れたものにはかなわないけれど。

流行で聞いていた邦楽ロックを、昔から好きなオルタナティブロックにかえました。窓から入りこむ音と合わさって、優しい音色になります。

 

思いがけず得た、夏のおやすみ、晴れの日の部屋。

そういう気分。

f:id:ia_a:20200713125944j:image