ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

彼女がいう自傷行為と

ピアス穴が、すっかり安定しました。

あけたて1週間こそ重たく熱をもっていた穴は、それをすぎると、触ってチリリとする程度。おしゃれして出かける機会に、つけっぱなしだったファーストピアスを抜きました。4ヶ月、わたしの身体にはまりつづけた小指の爪ほどのピアス。硬く固定されたキャッチを引いて、身体から抜くその感触にずるりと音がしたようで、心臓がバクバクします。お父さん譲りのあつい耳たぶのおかげで、よほど、ピアスのゲージが身体の内側をすり抜ける感覚がリアル。こんなに心臓を高く打つのに、引き抜いてしまえばあっけなく、耳たぶのまんなかに、ポツンと穴ができたのでした。

血が残ったり、通したはいいけれど出る穴の行方がわからなかったりして、そのたびに心音を高くさせたピアス穴でしたが、半月程を経たいま、朝の出かけぎわにも難なく通せるほど安定しています。

穴をあける前から集めたピアスのうち、服装と化粧にあわせてひとつ。スルンと小さな穴を抜けて、わたしからは見えない裏側に通るゲージ。キャッチをはめて、きちんと向き直る鏡には、期待通りの姿があります。

 

「かわいくて、耳元でちゃらちゃら鳴って、おしゃれの幅も広がって、ピアス最高!」

友だちに言うと、困った顔で笑いました。

「わたしには、自傷行為だよ」

自分を着飾らせて人の目に触れる、その負担や羞恥を考えると、まるで。

 

その言葉に覚えがありました。

 

hotohoto.hateblo.jp

 

彼女とわたしでは、「自傷行為」の意味が異なります。彼女は「痛み」として、わたしは「安心」として。過程と結果、負と正。対極にある、わたしたちのピアス。

 

わたしはきょうも耳にあいた小さな穴に、ピアスを通します。するりと身体のうちを通って固定されるピアス。耳元でちゃらちゃらきらきらと主張するそれは、どんな意味を孕ませてもなお足りないほどに、綺麗でした。