ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

すかすかするポテトサラダ

実家から届いた段ボール箱。ジャガイモが入っていました。

 

家庭でつくるポテトサラダが好きです。茹でたてのジャガイモはほくほくとやわらかく、時間をおくごとに味がなじんでやさしくなります。惣菜売場で買ってくるものより母がつくるもののほうが断然すきで、しょっちゅうリクエストしました。けれど、ジャガイモを茹でるには案外時間がかかるし、タマネギやらニンジンやらキュウリやらハムやらの具材を細かくし辛みを抜いたり水分を絞ったり下処理する作業は手間が要るので、2回に1回は却下されるリクエストでした。

1人暮らしをするようになってからは作り放題。けれど、ジャガイモを茹でる時間があまかったり、タマネギが多くて辛かったり、ハムよりベーコンの方が旨みがでるだろうとカリカリに焼くと焦げたりして、どうにも満足のいくポテトサラダができないのでした。しかも、1度つくるとなかなかの量ができて毎日食べなければならないので、しょっちゅう作ることもしませんでした。

 

だから、ひさしぶりのポテトサラダ。

じんわりジャガイモに火を入れて、そのあいだにタマネギとニンジンとキュウリの下処理。ハムの代わりに、今回はツナをつかいます。ごはんのお供よりお酒のお供として、塩味を意識し隠し味にお醤油をたらり、粒マスタードを2さじ。

「いいじゃん」

ボウルいっぱいのポテトサラダ。

ビールと一緒にひとくち。お酒のすすむ、良いお味。ふたくち、みくち、またビール。

そして、気づきました。

母のポテトサラダにはお砂糖が入っていました。オタフクソースが隠し味でした。お醤油も粒マスタードも入ってはいませんでした。実家に暮らしていたころ、ポテトサラダはごはんのお供で、お酒のお供になったのは、ここ数年のこと。

 

思い出の母の味。

でも、料理中に思い出されることのなかった味。

どこか胸のすかすかするポテトサラダができあがりました。