ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

夏支度

肌に触れる布の感触が変わりました。

気温が20度を越す日が増え、いよいよ冬服ばかりではいられなくなり、衣替えをしたのです。外出できない週末、ここを逃すともうチャンスはありません。意を決して衣装箪笥を引くとあふれだすニットに、改めて、すっかり暖かくなったこの2週間ほど、わたしはなにを着て過ごしていたのだと笑ってしまいます。

 

暖かくなってきたのは重々承知していました。けれど、どうにも重い腰が重いまま。押し入れの下の段におしこんだクリアケース2つをひっぱりだし、衣装箪笥の中身を入れ替え、またそこへ綺麗に収める気力がわきませんでした。だからこの衣替えは、日々気温を高める季節に押された、背水の陣であったといえるでしょう。

 

冬から春に移りかわる時期に着る、少し厚みを残したアウターが出てきたときには笑ってしまいました。今シーズン、このアウターが日の目を見ることはありませんでした。秋口までハンガーにかかって大人しくしてもらうほかなさそうです。ニットが膨らんでいつも半開きになっていた衣装箪笥は、夏服に入れ替えられてスタンと綺麗に閉まりました。すべてを収めてクリアケースを押し入れへおしこんだ頃、額にはうっすら汗。汗の出ない季節に衣替えを済ませようと心に誓って、何度目の夏でしょうか。

 

週明けのきょう、すっかり軽くなった衣装箪笥から選ぶ1枚に悩むことはなく、けれどやっぱり半袖は心許ないと思って、カーディガンを羽織って家をでました。きのう降った雨がまだ地面を濡らしていて、じめじめとした空気がまとわりつきます。けれど、纏った半袖はさらりと軽く、触れるカーディガンが素肌をくすぐりました。

さあ、どんとこい、夏。