ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

勝ちに行く

「いまからこんな格好して、シーズン本番にはどうするの」

衣替え直後、いつも警鐘を鳴らします。

気候の変化を感じて、でもやっぱり面倒くさくて、まだいけるまだいけると騙し騙しするうちに、ついに耐えきれなくなって取り掛かる衣装箪笥の総入れ替え。たいてい、夏のはじめとおわりにやってきます。寒がりなので、冬のそれは心持ち早いのです。

 

半年ぶりにお目見えする服は、もう何年も着たおしているはずなのに、初めて手にとるようにドキドキします。一念発起して行う衣替えによって、ニットばかりだったコーディネートが一変、半袖やノースリーブに。けれど、忘れずにカーディガンを1枚羽織ります。

「いまからこんな格好して、シーズン本番にはどうするの」

季節がすすめば暑さ寒さが厳しいことは目に見えているのに、軽率に肌を出したり、もしくは着込んだりして良いものかと迷います。自然はまだまだ本気をだしていないだろうに、初っ端から全力装備で立ち向かってしまうのか、いま以上の脅威にさらされて、こんな脆弱なわたしが打ち勝てるのかと不安になるのです。

 

そんな戦い方をしていたら、一昨年の夏は一度もノースリーブに袖を通さず終わってしまいました。わたしは生き残りました。自然の脅威に打ち勝ちました。でも、色鮮やかなノースリーブは衣装箪笥に眠ったままでした。やっぱりなんだか、負けた気分。

 

だから、今年はもっと勝ちに行きます。暑かったら脱ぐ、寒かったら着る。そうして自然の脅威と臆病な自分に折り合いをつけて、季節に立ち向かっていくのです。

きょうはシーズン初の、半袖登場でした。