ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

チン!

パチパチ、ジウジウ

朝の台所に、魚の焼ける匂い。焼き魚は、避けてきた料理のひとつです。魚焼きグリルの片付けが大変だし、匂いがつくし、下処理も面倒。けれど、一人暮らしをはじめて9年、20代も後半になってくると、焼き魚を食べたいときがあるのです。フライパンにクッキングシートを敷くことで、焼き魚のハードルが下がりました。匂いと下処理は、仕方がありません。

 

半分を朝ごはんにして、もう半分はタッパへ。それに、刻んだ薬味ネギを入れたタッパと鰹節の袋を重ねて家を出ました。

会社にお弁当を持っていきます。

お弁当といっても、会社の冷蔵庫頼り。社員の間で、庫内のスペースを決めて各々が食材を保存しています。わさびから醤油までの基本的な調味料は共用になっているほか、わたしは、週のはじめにまとめ炊きした冷凍ごはんと、納豆や豆腐、味噌や出汁といった常備菜を入れています。包丁やまな板、ポット、トースター、電子レンジもあって、簡単な調理には困りません。

夏にはトマトやキュウリを切るトントンという包丁の小気味良い音がして、秋にはリンゴの皮をむくショリショリいう音、冬にはスープを温めるチン!という電子レンジの音が響きます。そういえば、最近の電子レンジは「チン!」といわないものが増えています。会社の電子レンジは古いので、きちんと「チン!」といいます。

 

大学時代は、週末におかずを作って冷凍してお弁当にしました。一人暮らしのなか毎日お弁当を作ってくるわたしに、友だちはすごいと言ってくれました。今となっては、家と会社、2つの冷蔵庫の中身を思い出しながら、せいぜいメインのおかずを持っていくくらいです。今朝は、焼いた魚と刻んだネギのタッパ、鰹節の袋を持っていきました。とても「すごい」お弁当ではないし、果たして「お弁当」と呼べるのかも疑問です。けれど、わたしのランチタイムは大学時代より充実しています。

 

今週のお題「お弁当」