ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

じゃがいもを蒸かす

芋を蒸かすのが苦手でした。

ヒタヒタの水をたっぷり25分ぐらぐらさせて茹でるのが一般的。けれど、芋の入った水を沸騰させるだけで時間がかかるし、その間ガスをシューシューやるのはもったいない気がして、電子レンジを使っていました。すると今度は加減が難しく、ワット数や加熱時間に加え、芋の大きさや品種、時期による硬さを考慮しなければならず、もはや実験。「湯を沸かすのがめんどう」という理由ひとつで壮大な実験の世界に足を踏み入れるのは非効率的に感じられて、いつも、濡らしたキッチンペーパーをラップで巻きつけ、何ワット何分と適当にスタートさせ、軟らかくならなかったところは除いて調理していました。きちんと竹串をさして軟らかさを見たつもりでも、複数の芋を同時に電子レンジにかけるとムラがでるようで、ぐにぐにと潰す芋にコリ、と残るものがありました。潰した芋も、どこかパサパサと舌に触りました。

 

むかし、子どものころ、土曜日のお昼ごはんに蒸かした芋がゴロゴロでてきました。ザルに溢れんばかり盛られた芋を、各々、バターとかマヨネーズとか塩辛とかをつけて食べるのです。その芋の、ほこほことして甘いこと…味の濃い調味料はもちろん美味しいけれど、おしまいには、お砂糖をちょっとだけつけてかじる芋で締めるのが、わたしのお決まりでした。

 

妹とお母さんと3人で囲んだあの芋とは、味も食感も到底異なる電子レンジ蒸かし芋。芋が悪いのか、電子レンジが悪いのか、いえ、めんどくさがりのわたしが悪いのです。

おうち時間が増えたので、きちんとお鍋をだして、お水をヒタヒタに注いで、ぐらぐらと火にかけてみようという気になりました。

30分を経て蒸かされたお芋。しっとりとして、潰すともったりと程よい重さがあって、じんわり広がる甘みに、驚きました。

 

かくしてわたしは、25年生きてようやく、

蒸かし芋をマスターしたのです。

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お題「#おうち時間