ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

それはきっと

やばいと思いました。

取り返せない、後戻りのできないこと。これまでもそこにあったのに、ようやく存在に気づいて、改めて感じる恐怖。前に進むしかない不安。何が待ち受けているのかわからない、暗闇の中を手探りで進む感覚。やばいと思いました。

こういうときは、あたたかいものを食べて、さっさと寝て、朝きちんと起きて太陽を浴びる。わたしが26年の人生で得たライフハックです。でも、ダメでした。あたたかいものを食べてもすぐおなかいっぱいになってその感覚が何だか気持ち悪いし、さっさと寝てもすっきり起きられずまだまだ寝足りないし、朝きちんと起きて浴びる太陽は、眩しいだけ。今回はどれもダメでした。いよいよ重症。

 

出かけました。何ヶ月ぶりかの遠出。それはきっと逃避。

空は青くて、風は綺麗で、木々の緑に少しだけ、赤や黄が混じっていました。世界は美しくて、美しい世界に生きるわたしももちろん、美しいのでしょう。美しくあろうと、暗闇の中を手探りに進んでいるのでしょう。ならその歩みを、止めてしまうべきではないのだと思いました。

大丈夫。きっと大丈夫。今までだって、一生懸命考えて、一生懸命選択して、一生懸命進んできたのです。大丈夫だったのです。だからこれからもきっと、大丈夫です。

 

あたたかいものを食べて、さっさと寝て、朝きちんと起きて太陽を浴びても、それでもダメなとき。そのときは逃げてしまいます。くるりと背を向けて、全速力で遠くまで。恐ろしいそれが見えなくなるところまで。そうすると、自分の歩んできた道が、立たされている場所が、そのさきの未来が改めて見つめられて、また、手探りで前へ進めるようになります。それは、わたしが26年の人生で得たライフハックの、最終手段。逃避。それはきっと、必要な逃避です。