わたし、雪女なんですよね
昨夜から、北海道の左上に発令されている暴風雪警報。たしかに、一晩中ごうごうと強い音が木造のアパートを揺らしていました。
朝起きてみると、道は綺麗。東の空はオレンジと紫でへんに明るくなっています。なんだ、車の雪下ろしが難航するとみて早めに支度を済ませたけれど、杞憂だったかな。そうして駐車場へ行って、がっかり。強い風にふきだまりができて、わたしの車の、しかも運転席ドアの周辺に、ふくらはぎの中ほどまではあろうかという雪山ができていました。
今年買ったショートブーツは失敗。シンプルなデザインが美しいと思ったけれど、丈が短すぎて雪が入りたい放題です。捨て身の覚悟で雪をかきわけ、運転席へ。少し車を移動させて、なるべく風のあたらないところで窓やミラーにこびりついた雪を落とします。
びうう
ごおお
その間も容赦なく風が吹きつけて、髪もスカートもみんな攫われます。取り返している暇はありません。暴風雪警報のなかで、身だしなみなんてものはないのです。特に、遅刻がかかった朝の出勤時には。
ようやく車を出発させると、遠くで「排雪中」の旗がバタバタしているのが見えました。嫌な予感。
雪が道幅を狭くするため、路肩の雪山を乗せて運び去る排雪車。大型トラックで行われる作業は、片側一車線通行、もしくは通行止めになります。なにも、朝の出勤時間にやらなくてもいいじゃん。
やっとの思いで職場にたどりつくと、ドア前には、またふきだまり。勘弁してくれ。
「わたし、雪女なんですよね」
先日、はじめて「雪女」を自称する子に会いました。「雨女」や「晴れ女」ならわかるけれど、雪を降らせる「雪女」。さすが、びうと風が吹き、ごうと雪が降る北海道の左上です。
でも、願わくばそんな女おらずとも良いと思いながら、仕事終わりに帰りついた駐車場の雪かきをするのでした。