ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

学ぶ生き物

人は学ぶ生き物です。

挑戦して修正してまた挑戦して、課題解決のために考え、学びを重ねる生き物です。

 

今年、北海道の左上の根雪は11月初旬でした。根雪とは、降っては融け降っては融けする冬のはじめの雪が、ようやく積もりはじめる「始まりの雪」のこと。いくら寒かろうと霜がふろうと、雪国では、根雪がくるまで「冬本番」とは言えないのです。

 

わたしも、初雪の日にようやく「冬の気配」を感じました。衣替えをすっかりすませ、冬物のコートをしっかり着込んでいるというのに、足元は春夏に履きつぶしたパンプス。さすがにこの靴で、北海道の左上の冬を越せません。靴屋さんへ行って、今年の冬靴を選びました。

例年よりシンプルなデザイン。5センチの控えめなヒールに、黒のビロード、ゴールドのバングルが足首をしめて、そのすぐ上でストンとカットされたショートブーツです。ロングコートからのびる足、その先でてらてらする新しい靴に、心躍りました。

 

けれど、12月下旬。北海道の左上は積雪60センチ超え。もうすぐ70センチに達します。朝起きれば雪かき、外勤しようものなら雪かき、帰宅しようにも雪かき。黒のショートブーツはすっかり真っ白、足口からガバガバに入る雪が、爪先を凍えさせます。

 

人は、学ぶ生き物です。

わたしは、学びました。

 

この靴は、毎日雪かきをせねばならず、常に雪を漕いで歩くことを強いられた、雪国暮らしの女性向けには作られていないのです。道は除雪され、通勤は電車、1日のほとんどを屋内でやりきれる女性こそが、このビロードをてらてらさせ、このヒールをならし、胸を張って街を歩くことができるのです。

だからわたしは、明日から長靴を履くことにします。

そうして人は学ぶのです。お洒落よりも、生き抜くことこそ、人の根底課題です。