ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

27歳田舎ぐらし女子のモーニングルーティン

「27歳女子のモーニングルーティン」

この文字面で、どのような想像をするでしょう。朝起きて、軽い朝食を食べて、化粧をして、髪をセットして。そんな白く細い額縁で彩られたリリカルな暮らしを想像するでしょうか。パンの焼けるにおいと香水の香りをまとって、その部屋にふりそそぐ朝の光は、白くやわらかいのでしょうか。現実は、いえ、田舎の古い一軒家に暮らす27歳のモーニングルーティンは、そんな想像からかけ離れています。

 

7.5畳の自室は昔ながらの作り。木目調の壁のこい茶色が部屋の印象をよどませ、朝の光が二重窓の薄い曇りガラスでにじんでいます。

目を覚ましたら、カーテンを開けるよりうんと伸びをするよりまずメガネ。これをしないと、悲惨なメにあうでしょう。窓も扉もきっちり閉まっている部屋で、ベッドのすぐ足元に鎮座するコオロギとともに目覚めたのは夏の終わりのこと。なにやら大きなごみが落ちていると思ってよくよく見たら、コオロギでした。それ以来、家にいるときはメガネとスリッパが欠かせません。

布団からはいだして、ガムテープを片手に家を一周。ここで夜中のあいだに湧き出るワラジムシやらゲジゲジやらを捕獲します。ゲジゲジの出現率は2ヶ月に1度ほどですが、出くわせば大きな精神ダメージ。ワラジムシは通常時で6、7匹ほど、春先のあたたかくなる時期は特にひどくて、朝イチの捕獲で20を超える日もありました。

 

そうして家中の虫をとり終えてから、ようやくわたしの朝が始まります。田舎の、築何年かも知れない木造一軒家に、1人きりで暮らす27歳女子。「メガネをかけてガムテープ片手に虫の駆除」なんて、誰が想像するでしょう。引っ越したい。

 

今週のお題「マイルーティン」