あの娘が自傷行為をして得る安心の
ピアス穴をあけます。
「どうしてあけようと思ったの?」
友だちに訊かれて、自分でも「はて」と思いました。
そもそも中学生のころ「大人になったらピアスをしよう」と意識したので、かれこれ10年、興味を引きずっていることになります。経験フェチのわたしにとって、気になったことを気になるままにしておくなんて笑止千万。ここまで放置しておいた興味は何をきっかけにして、皮膚科を調べ、予定を確認し、問合せをするに至ったのでしょう。
日常生活に必要不可欠というわけではないし(だからこそ10年あけずにいた)、病院とはいえ身体へ穴をあけるわけだし(治療費もなかなか)、ピアスホールのケアやアレルギーの心配もあるし(ケアが面倒でウィークリーコンタクトをやめた)、もっともイヤリングという代替品だってあります。
それでもわたしは、ピアス穴をあけようと思ったのです。
思い出したのは、好きなアーティストの、好きな歌でした。
僕が歌を歌って得る安心と
あの娘が自傷行為をして得る安心の
そもそもの違いがわからない
「あの娘」が自傷行為をして得る安心と、わたしがピアス穴をあける理由は、違いがないように思います。もちろん、「僕」が歌を歌って得る安心とも違いない。
わたしがピアス穴をあけようと思った理由は、耳たぶに穴をあけて通したアクセサリーがキラキラ揺れるのを想像すると「安心」するから。
化粧をする理由にも通じますが、わたしは、着飾ることで少し強くなったような、心強い武器を得たような、いざという時に後押ししてくれる存在を留めておくような気持ちになるのです。それを生きていくための「安心」といえば、そうでしょう。
「僕」が歌を歌って得る安心と、
「あの娘」が自傷行為をして得る安心と、
わたしがピアス穴をあけて得る安心の、
そもそもの違いがわからない。
Lyric Speaker × amazarashi 『それを言葉という』Lyric Video