ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

小学生と中学生と高校生と大学生のわたし

エッセイを応募したら、良いセンいきました。最終選考に残ったそうです。でも、ダメでした。ざんねん。

ぽっかり胸に穴があいたような心地がしたあと、その穴を、小学生と中学生と高校生と大学生のわたしがゆっくりゆっくり埋めました。

 

小学生のころ、読書に目覚めました。図書室にあった分厚いハードカバーの児童書を読みつくして、大人が読む文庫本に手をだしました。学校の図書室で形成されていたわたしの世界は、まちの本屋さんによって、ぐんと広がりました。

読むうちに、書いてみたくなりました。自作の短編小説を教室の読書コーナーに置いて、みんなに読んでもらいました。A5のリングノートに、えんぴつで綴った文章。書いているときのことは、覚えていません。とにかく夢中でえんぴつを走らせ、気が付いたら物語になっていました。

 

中学生になってからは、宿題で唯一、読書感想文が楽しみでした。ある年の夏休みあけ、感想文を2本提出して国語の先生を困らせました。

高校で、文芸部に入りました。自分の文章が活字として印刷され、一冊の本としてかたちを成すのが嬉しくてなりませんでした。

大学で、就職活動をしながら、やりたいこととかなりたいものはないけれど、ただ、文章を書いて暮らしたいと思いました。

 

大人になっても、文章を書いています。ずっと、文章を書いていたのでした。

公に評価してもらうのは、読書感想文以来でした。文章ってアートと同じく自己表現だし好みだと思うので、そういった機会を敬遠していました。でもやっぱり、最終選考に残ったと聞いたときは飛び上がって喜んだし、入賞を逃したと知ったときには落胆しました。

 

げっそりと落ち込んだわたしを、小学生と中学生と高校生と大学生のわたしが包みました。ずっと文章を書いてきたわたしが、唯一わたしを知っています。

 

これからもわたしは、文章を書きます。