ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

冬を履きつぶして

今日はおかしな天気でした。

静かだと思えば窓の外が真っ白だったり、さっと明るくなったと思えばあっという間にアスファルトが乾いたり。まるで、もう少し冬に留まろうか、いっそのこと春にしてしまおうかと迷っているようなお天気でした。

晴れ間に誘われて昼休み外へでてみれば、日なたは随分暖かくて、最寄りのコンビニまで歩きました。少し大きく腕をふると慣れないバランスにふらり。そうだ、靴をかえたんだった。

 

わたしは毎年、同じデザインの冬靴を履いています。

冬のはじめ雪が降って、もうどうにも足元が覚束ないといふうになると、靴屋へ行き、黒の、クラシカルなレースアップショートブーツを1足買います。パンツにもスカートにもどんなコートにもしっくりきて、定番デザインゆえに迷う必要がなくて、お決まりの冬スタイル。ワンシーズンを通して使い、ちょうど履きつぶした頃、春がやってきます。

 

今年は、つい1週間前にその時を迎えました。

冬の終わりは唐突で、地下鉄を降り5分ほど歩けば目的地、という段になってぼっくりと左のヒールがもげ落ちたのです。前日、田舎にはないエスカレーターにうまく乗れずヒールが浮いているなという気がしたけれど、まさかこんな都会のまんなかで失うとは。それから、春の靴を履いています。春のはじめ雪解けもまばらで少し覚束ないけれど、冬靴を失っては仕様がありません。マットブラックのオフィスパンプス。黒のタイツを履く間は、オンオフともこれで十分。

ただし、足首まで固定されるショートブーツと足の甲がぱっくりあいたパンプスでは感覚が随分異なりました。毎年この時期に、パンプスとはこんなに歩きづらいものだったかと思わされます。頭上はぬけるような青空なのに、そちらに気を取られては足元をやってしまいそうで、なんだかとってもアンバランス。

顔色を伺うようにして変わりゆく季節、今年も、春がやってきます。