ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

週末の予定

布団から出ている鼻の先が冷たくて、目覚ましを止めるために手を伸ばすことすら億劫な朝。めっきり寒くなりました。ぎりぎりまでベッドのなかで手足を擦り合わせ、これ以上は時間の限界というタイミングで這い出し、すぐにストーブをつけます。

一人暮らしの我が家には、カーテンがありません。そのかわり曇り加工のされた内窓があって、光は入るけれど景色は見えない。だから、曇りガラスの向こうから聞こえる雨の音、風の音、鳥の声、エンジン音、人の動く音を頼りに天気を予想して、出かける支度をします。

 

なんだかその日は、やけに明るく感じられました。すっかり山が色づいて、それを雨が洗って、どんよりと彩りが陰りはじめた頃。真夏の朝とも、春の昼下がりとも違う、パキッとした鮮やかな明るさ。こういう日を小春日和というのかな、なんて悠長に、手と手、手と足をすり合わせながら、朝の支度。

 

さて、いってきます。

玄関ドアに手をかけたとき。指に伝わる金属の冷たさ、ツンと鼻腔を走る冷気、まっしろになる視界。

一晩にして、雪景色。

 

まじかよ…

思わず声が漏れました。わたしの足元は、夏から変わらない5センチヒールのパンプス。それ以外に履ける靴はありません。

水を湛えて重たくなった雪に、ざくざくヒールを突き入れて進むと、5センチなんて到底敵わない積雪深であることが、3歩目にしてわかりました。ぱくっとあいた甲部分から、じわじわと水が染み込みます。

 

わたしは、毎冬あたらしい靴を一足買って、ワンシーズンで履き潰してしまいます。でも今年は、靴を購入する前に深い雪に降られてしまいました。

失敗。

週末、靴屋さんに行かなくちゃ。