記憶のなかの、遠いあの日へ
携帯に通知。
サブスクリプションサービスを利用して音楽を聞いています。好きなアーティストを設定すると、新曲など更新の都度に通知がきて便利。その日も、通知を受けて携帯をとりました。
若い主観を情感たっぷりに歌うバンド。予想もつかないメロディラインと、独特な言葉選びが好きでした。
新曲は、2度と戻らない青春のページをふりかえって自身を見つめるストーリー。ボーカルが腹の底から歌う感情は、決壊して溢れだす寸前でした。予想外な変調がメロディを2転3転させて、こちらの気持ちまで揺さぶります。
なんだか、その変調があまりにも突飛でした。
大胆なメロディを1曲のうちこんなにポンポン放り込むなんて。片手間に聞くには、どうにも余る表現性でした。
新曲の配信と同時に、動画配信サイトでPVが公開されました。
青く靄がかかったような映像。
高校生の男女の、友情や恋愛や将来やその全てが、狭い校舎の中でごちゃごちゃに煮詰められて、日常として映されています。
それを歌う、2転3転と変調をくりかえすメロディと、腹の底から声を上げるボーカル。
記憶のなかに仕舞い込んだ、けれどたしかにあった遠い日のわたしが急に目を覚まして、喉元をぐう、と締めました。
彼らが表現したのは、この感情だったんだ。
映像の高校生たちを、いえ、誰しもが経験したあの日々を歌うのに、メロディなんて単純な1本には収まらなくて、ボーカルは髪を振りみだし目を見開き歯を剥きだして歌うに、ふさわしいのです。
音楽が好きで、PVもよく見ます。こんなに衝撃を受けた作品は久しぶりでした。楽曲の素晴らしさはもちろんだけれど、それを最大限に生かして映像作品に昇華する、最高のPVです。PVを見てこそ、楽曲の魅力が増します。オススメ。