ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

赤に誘われて

仕事がひと段落して顔を上げると、廊下が真っ赤。

職場の玄関は2階で、西向きにつけられた窓から日本海にひらけた漁港が見えます。晴れた日には西日が入って絶好のシャッターチャンス。建物の裏に走る線路、その向こうに広がる夕焼け空、1日のおしまいの光を受けて輝く海が好きです。そして、その日廊下を染めた夕陽は、ひときわに明るく鮮やかに、わたしを誘いました。

 

お天気がつづく北海道の左上。週末には晴れ空が広がって、おでかけにピッタリです。晴れということは夕陽も格別。先日でかけた際には、車を停めてシャッターチャンスを狙いました。

海にむかって小高くなった丘の上にあるキャンプ場は、絶好の撮影ポイント。遮るものなく夕焼け空をカメラにおさめられます。北への用事の帰り道、ちょうど通りかかったそのキャンプ場へ、日の入り10分前に滑り込むと思った以上に車とバイクが並んでいました。やっと駐車してカメラ片手にゲートをくぐると、みんな一様に同じ方をむいて、日本海に太陽が沈む瞬間を待っていました。まるで、打ち上げ花火を待つ夏祭りのように、ライブの開演に心躍らせる観客のように、同じ瞬間を心待ちにしてさわさわと言葉を交わすその光景に、人々の心をとらえる夕陽の魅力を感じました。

 

午後から重たい雲がはいりこんだその日。

視界の端で廊下を染める夕陽に、大人しくデスクについていたわたしの口から「あっ」と声が漏れました。

赤のスポットライトのなかにとびだして、まだ高い陽から延びる朱のあかりを受けます。海に近づいて傾ぐほど、あかりは深くやわらかくなって、空のグラデーションは赤、青、紫、黄色と複雑になります。夢中で、カメラを構えました。

 

行楽日和つづく北海道の左上。

快晴のもと行楽を楽しんだそのあとは、夕焼け空も堪能してから、帰路についてほしいと思います。

 

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