ぼくらはずっと
あれ
何度足を運んだかわからないTSUTAYAさんで、足が止まりました。
定期的に商品が入れかわるレンタル店では、テーマごとの特設コーナーが設けられます。アカデミー賞受賞作とか、新作公開間近のシリーズものとか、背表紙がずらりと並んだパッケージのなかで、見えやすいようにジャケットが表を向けて並べられます。眺めながら歩いて、なかでも目を引くのは「エンド陳列」といわれる陳列棚の両端側面。商品の並ぶ棚へ向かって1番最初に見える場所であるため、イチオシ商品が並べられているのでしょう。旧作におりてきたばかりの話題作とか、実写化した漫画原作作品とか、見覚えのあるタイトルが並ぶなかで、目に留まった一作がありました。
どこで記憶したのでしょう
見たこともないその作品のジャケットに、興味をひかれました。どこか古めかしいデザイン、内容を想像させないシンプルな構成、表情を浮かべずこちらを見る若者たち。
そうだ
大好きなバンドのデモ音源が動画配信サイトで公開されたとき、音楽にあわせてあった映像が、ジャケットの彼らでした。作品そのものを見たわけでも作品タイトルを調べたわけでもないのに脳裏に焼き付いていて、ジャケットを見た瞬間に、感情を揺さぶりました。大好きなあの曲のイントロと澄んだボーカルが聞こえました。
デモ音源はすでに本収録されて、アルバムのなかの1曲になっています。格段に良い音質と付け足された歌詞やメロディに、動画配信サイトでデモ音源を聞くことはなくなりました。けれどやはり、その曲に出会った瞬間の、あの感動は忘れられないものです。
1年前の夏
爽快なイントロで始まる軽快なメロディ。駆け抜けるようなボーカルに合わせてステップを踏む彼らとともに、ベッドから這い出しぐんと伸びをしたあの朝を、わたしはずっと忘れません。