オススメ映画2020
先日、「あいちゃんはもっとメジャーな映画を見たほうが良いよ」と言われました。えっわたしメジャーマイナー関係なく映画見てるけど???と少しムキになってしまったので、昨年1年間で見た作品から、めちゃくちゃ良かった10作品を選びました。ウイルス禍も手伝って、新旧あわせて80本ほどを見たなかから、北海道の左上に暮らす25歳女子のオススメ作品です。
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10、HELLO WORLD(アニメ、SF)
映画『HELLO WORLD(ハロー・ワールド)』予告【2019年9月20日(金)公開】
【ストーリー】ーーー
2027年の京都市に住む主人公。10年後の世界から来たという自分自身に「この世界は、シミュレーター内に再現された過去の記録である」と聞かされ、近い未来で出会う交際相手へとふりかかる死を回避してくれと懇願される。世界のしくみとは、主人公の恋の行方は、交際相手の運命は…。
この物語(セカイ)は、ラスト1秒でひっくり返るーー
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卓越したSFストーリーと、日本が誇るアニメーション、素晴らしい音楽の融合に舌を巻く。アニメ映画と侮るなかれ、最初から最後まで全力で見よ。
劇伴がOKAMOTO’S、official髭男dism、Nulbarichというだけで見る価値アリでしょう。髭男の、過不足ない用法容量を守った使い方、必見です。
劇場公開当時は注目されたけれど、評価が追いついておらず残念です。「SF」に対する期待感には120%応えたけれど、「アニメ」とか「音楽」とかに散らばった期待感に、すべて応えられなかったのが要因か…もっと注目されてほしい1作です。
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9、ヴァンパイア(ドラマ)
【ストーリー】ーーー
岩井俊二監督作品。気弱な高校教師が実はヴァンパイアであるという、監督自ら執筆した同名小説が原作。自殺者から得た血液で生き延びるヴァンパイアと、自殺サイトに集まる少女たちとの出会いと別れを描く。
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モノづくりをするとき、まずはじめに岩井俊二作品を見たい。
描きたいものを、イメージに忠実に、少しも手を抜くことなく表現する岩井俊二監督の、こだわりが見てとれる1作です。このシーンがあるだけで映画として完成、というような画が散りばめられていて、心動かされます。
つまり、ストーリーとしてはありがちだし、ヴァンパイアのディテールが曖昧だけれど、画が美しいのでオールオッケー。この画を見るためだけの120分間。岩井俊二マジック!
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8、パーマネント野ばら(ドラマ)
【ストーリー】ーーー
西原理恵子原作コミックを映画化。離婚の末に一人娘を連れて故郷に戻った主人公と、実家の美容室「パーマネント野ばら」に集まる女性たちの生き様を描く。
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西原理恵子節を効かせながら、よくぞ100分でまとめ上げた、衝撃の1作。
寂しさを埋めるものを模索して、正しく掴みとる意思と勇気を持ちたい。すべての女性に寄り添う映画です。
舞台となる海辺の街の美しさや登場する女性たちの表情に少しずつ引き込まれ、それでもどこかつきまとう違和感を不思議に思っているうちに、なに食わぬ顔でサスペンス要素をブッこんで、美しくかっさらっていきます。天晴れ。最高。
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7、ライフ イズ ビューティフル(ドラマ)
Life is Beautiful (1998) Official Trailer - Robert Benigni Movie HD
【ストーリー】ーーー
1939年、ユダヤ系イタリア人の主人公は、街で小学校教師をする女性に恋をし、アプローチのすえ結婚、子どもに恵まれます。幸せな暮らしも束の間、強制収容所への収監命令が下り、生活は一変。なんとしても子どもを守りぬかんとする父、彼らを追って収容所に入る母、無邪気な子の笑顔。彼らは、幸せな生活を取り戻すことができるのか…。
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ライフ、イズ、ビューティフル。自らの感じ方、考え方、動き方こそ、人生を築く。愛に溢れたストーリーに、笑って泣ける最高の映画です。
父の愛、母の愛、夫の愛、妻の愛、子の愛。複数の人間関係で交錯する愛を余すことなく描き出す、家族愛の物語。
しかし、ただのハートフルストーリーではありません。前半、主人公がアプローチする様をコメディ、ラブロマンスタッチで描きながら、一転して後半のシリアス、感動ドラマでまとめるという、簡明な展開に瞠目。これまで笑っていたのに、いつの間にか涙が流れています。感受性ガバガバ映画。
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6、愛がなんだ(ラブロマンス)
【ストーリー】ーーー
角田光代の同名小説を映画化。一目惚れした男性を追い続ける主人公だが、男性にとって主人公は「都合のいい女」。主人公はじめ、アラサー女性たちが直面する「幸せになりたい」恋愛ドラマ。
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登場人物すべてに共感の嵐だし、誰一人として安寧にいなくて辛い。答えを見つけられなくて辛い。エンディングのポップミュージックがよっぽど空虚。それが、最高。
ストーリーは、緻密な心理描写のうえに面白みを増していくのだけれど、カットに無駄がなく、程よくわかりよく読み込ませる展開が巧みで、人間ドラマ作品にありがちな難しさを感じません。長尺でもトピックとその一つ一つの強弱がしっかりしていて、あっという間の120分です。
「愛がなんだ」
好きとか愛とか、そもそもなんなんだ?共通認識として個人差がある時点で、個人感情をカテゴライズすることはできないし、その正当性は議論できない。そんななかでも、皆一様に幸せを求めている。
自分自身を蔑ろにしてしまうほどの存在があっていいわけがない。
けれど無意識のうちに、そうして人を貶める人があって、そういう人は「最低」と評されるけれど、彼らにも彼らなりの必死にもがき生きる側面があって、誰しもがそちら側になる可能性があるわけで…もうほんとに「愛がなんだ」。テーマ性が深く、映画のなかで、登場人物たちと語り合いたくなる作品です。
「愛」の一括りをとっぱらおう。話はそれからだ。
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5、インセプション(SF)
【ストーリー】ーーー
2020年「TENET」で話題になったクリストファー・ノーラン監督がオリジナル脚本で描くSFアクション大作。人が眠っている間に潜在意識へ潜入し、アイデアを盗みだす主人公は、その才能ゆえに最愛の人を失い、国際指名手配犯となって、子どもとも離れ暮らしている。そんな彼に、人生を取り戻す唯一のチャンス「インセプション」という最高難度のミッションが与えられて…。
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緻密な世界観に、人間ドラマが屈する作品。
人間ドラマにのみ注目すれば、マフィアの席巻争いと、大企業のお家騒動と、ベタベタの粘着恋愛。それが、緻密に構成された世界と映像美のうえに展開されると、たちまち、えも言われぬ観了感を与えます。
わたしは、アクション映画にあまり魅力を感じないのですが、本作ばかりは、最高のアクションサスペンスでした。
ラストの余韻が最高。大勢で見て、考察でワイワイしたい1作です。
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4、ハッピー・デス・デイ(ホラー)
【ストーリー】ーーー
誕生日に殺された主人公は、その日の朝に、再び目を覚ます。殺される誕生日を何度も繰り返すヒロインの、新感覚タイムループホラー。イケてる女子大生のヒロインが、自らの運命に立ち向かい、殺人鬼と対峙する。果たして、安らかな明日を迎えることができるのか!?
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「ホラー」で括るにはもったいない!最高の、女の子キラキラストーリー!
日常に不満をもちながらも行動することなく「ツマラナイ」と言って過ごす。それこそが不満の種だし、解決にならないし、ツマラナイ。殺される日のループというショッキングな体験から、最高の人生を手に入れる、ホラーサスペンスラブコメディです。
なんと続編があって、しかも、「こういう映画は結局1作目が1番面白いんだよ」という定石を見事打破してくれます。1作目でハマった方はぜひ2作目も!
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3、ロブスター(SF)
【ストーリー】ーーー
独身者は身柄を確保され、特別なホテルへ送られる世界。そこで、期限内にパートナーを見つけられなければ動物に変えられてしまう。ある日突然パートナーに別れを告げられた主人公は、パートナー探しのためにホテルへ収容されるが…。
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よくわからないあらすじ通り、「よくわからない映画」です。けれど、違和感の散りばめ方が秀逸で、「よくわからなかった」で終わらず「どうしてこうなったんだ?」と探りたくなります。こういう映画こそ「良い映画体験」だと、わたしは思います。
難解なストーリーに引き込まれ、解読に夢中になっていると、ラストシーンで本作の本当のテーマが香ってきます。理解より前に前提条件を、自らの常識を疑わなければなりません。見れば絶対、誰かに話したくなる映画!
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2、永遠に僕のもの(ドラマ)
天使の顔をした連続殺人鬼…実話を基にした映画『永遠に僕のもの』予告編
【ストーリー】ーーー
1971年、アルゼンチンで12人以上を殺害した連続殺人犯の少年をモデルに描いたスペイン映画。 思春期を迎えた主人公は、子どもの頃から他人が持っている物を無性に欲しがる自分の天職が、窃盗であると気づく。学校で出会った青年と2人で窃盗をはたらくが、次第にエスカレートして…。
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映像、ストーリー、キャラクター…刺さるひとに刺さる一作です。
すべてを欲しがって、何も手に入れられなかった主人公が、本当に求めていたものとは。
主人公のありったけの感情を端的に表現します。儚く美しく、目を見張るアクションまで盛り込んだ映像に引き込まれるけれど、あくまで「映画作品」。実話をもとにしながらも、エンターテイメントとして昇華した鮮やかさに感服します。
「ポスト・ティモシー・シャラメ」と称された、主演ロレンソ・フェロにも注目!
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1、マティアス&マキシム(ラブロマンス)
グザヴィエ・ドラン監督&出演!映画『マティアス&マキシム』予告編
【ストーリー】ーーー
友情と恋心の狭間で揺れる青年2人の葛藤を描く、青春ラブストーリー。幼馴染みである2人は、友人の短編映画でキスシーンを演じたことをきっかけに、心の底に眠っていた気持ちに気づく。けれど彼らはそれぞれに、家族や将来、友人関係といった問題を抱えていた。2人の暮らしは、関係性は、芽生えてしまった感情は…。
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その感情を、カテゴライズする必要があるのか。
カテゴライズするなら、正解はあるのか。
友だちとか恋人とか、関係性のカテゴライズなんてナンセンスで、個人的な感情に従って営む対人関係こそ、あるべき姿でしょう。けれど社会生活においては、どうしても関係性に名前がついてしまいます。その名前に思い悩む2人について、それぞれの生い立ちや置かれている状況、その場の感情まで鮮やかに描き出した本作は、「ラブストーリー」の括りでは語り尽くせない名作です。
こだわりを感じるカットに、シーンを彩る挿入歌。ストーリーを抜きにしても引き込まれる映像は、家に飾っておきたくなります。
大好きな監督の作品で、あまりに感銘を受けたので別記事でもご紹介しています。こちらもあわせてどうぞ。
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たしかにマイナー寄り…???「映画を好きな人の耳には入ってくるけれど、一般の人には認知されていない」作品が多いのかもしれません。良い映画は、映画好きでなくても「良い映画体験」ができるので、わたしに騙されたと思って見てみてください。映画鑑賞への道が開けるかも。
ただし、映画はじめ本や絵画といった芸術作品は、結局個人の嗜好によります。好きな人が好きな人とワイワイ盛り上がればよろしい。
2021年も映画みるぞー!!!