どこへでもいける
つまらない2年間を過ごしてしまいました。と、いうのは言い過ぎでしょう。でも、どこへも行けずなにもできず自分に眠る可能性を探る、2年間でした。探った結果、このままではいけないと思いました。
ひとは、時間があるから考えすぎるのだといいます。忙しく考える暇もないほど動いていれば、それに従って物事も転がっていくものだと。そうであるなら、この2年間は十分すぎました。
空の上から思います。
わたしはこの2年、なにをやっていたのでしょう。
なにを得たのでしょう。
何者になりえるでしょう。
ただわかるのは、どこへでも行けるしなんでもできるし何にでもなれるということ。
それは、大学時代に1週間、北海道浦河町という田舎街で暮らしたとき以来の感動でした。1人で空港まで行って搭乗手続きを済ませ座席に座って身体がぶわりと浮いた感覚がしたとき、わたしはようやく、あの感動を思い出したのです。
ひさしぶりの1人旅です。大学時代は、予定のない休みとあらばまるで義務のようにあちらこちらへ行っていたけれど、社会人になってから宿泊をともなう1人旅は初めてでした。また、1人で飛行機に乗るなんて、大学時代のわたしは考えられなかったでしょう。それについて言うならまあ、「1人で飛行機に乗って旅ができる大人」になり得ているのかもしれません。
何もしてこなかったわけではありません。なにも得ていないわけでないし、何者にもなりえるでしょう。こんなふうに自問自答してしまうのは、きっと、インターネットの使えない飛行機の時間が長いせい。その答えを探しに行きます。