ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

この地域に生きる

冬が近くなると、地面からにょっきり生えるぼっこをご存知ですか?高さ2mほど、色は赤と白の太めストライプ(色の入り方はぼっこによる)、太さは、小学生が片手で掴んで、支柱にして一回転するのに丁度良いくらい。道北地域の路肩では、あっちにもこっちにもニョキニョキニョキ。

 

わたしは今年、「道北」と呼ばれる地域に越してきて2年目になります。昨年は始終オタオタして視野が狭くなっていましたが、2年目ともなると多少周囲が見渡せて、「なにこれ!?」といった新発見があります。

 

近ごろのベスト・オブ・発見は道端のぼっこ。夏には見かけなかったのに、気づけば路肩にスラッと立っていて、しかも昨年は見た気がしなくて驚きました。

 

これ、きっと道北とか盆地とか、すごく雪が降る地域特有の目印です。雪が降ると、どこから歩道で、どこから車道で、どこから畑で…という境界線も隠れてしまうから、危険がないように目印のポールをたてるのです。私説ですが、きっとそう。道南では、冬になるとぼっこが生えるなんてありませんでした。そもそも歩くべきところがわからなくなるまで雪が降ることはありません。

 

この時期になると、道北では、地面から細いとも太いとも言えない赤白のぼっこが生えて、通学途中の小学生が手袋をはいた手でグッとつかんでぐるりと回ったり、ぼっこが立ったことを合図に「今年もこれだけの雪が降るのか」と肩を落としたりするんだなと思うと、この地域に生きる人の生活を感じて胸がじんわりあったかくなります。

 

2回目の冬は始まったばかり。風と雪にうんざりするけれど、どっしり構えて乗り切ろう。
わたしも、この地域に生きる人の一員なのだから。