ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

黄色かよ(笑)

冬の朝は青。
まさか景色に色が付いているわけもないのだけれど。雪の降らない地域にお住いの方から、「雪が降るとき、雨のように音はするの?」と訊かれて、ふむと考えました。
雨のように質量をともなった明らかな音はしないけれど、絵本やなんかで形容される「シンシン」はまさに雪の降る音だと思います。冬は空気が澄んで(これは本当。空気が乾燥し、寒さのおかげで空気中の不純物の運動量が低下するため。)、音も光も真っ白な雪が飲み込んで、「雪が降っている」という感覚だけが残る。
そんな冬の日、とくに朝。目を覚まして見渡す家の中は、色を帯びています。
つい夜更かしをしてしまった炬燵のなかで垣間見るカーテンの向こう側や、寒さに起きだす日の出より早い時間帯のぼんやりとした明るさ。ほかのどの季節に見る、いつもの見慣れた部屋より、白々しく青みを帯びているように感じられるのです。ああ、雪が降っているなと、実家からもってきた半纏を羽織ったりして。
冬の朝は、青色です。

 


そういえば、
つい最近うちのアパートの壁が塗り替えられました。黄色。ビビットなイエローより、少しホワイトを加えたレモンクリームみたいな黄色。甘くて酸っぱいような黄色。
実は、これまでは青でした。真っ青なブルーより、少しホワイトを加えた空色みたいな青。あまりに清々しい色の住まいに、毎日仕事や遊びにくたびれた身体を滑りこませるのがなんだかこっぱずかしかったので、塗替えのおしらせを見たときにはにんまりしました。つぎは何色になるだろうと見守っていたところの、黄色。

 


…今年の冬は、黄色なんだろうか。