ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

心からの言葉

「おっいいじゃん〜綺麗だね!」
「ほんとだ!夕陽みたいで素敵!」
子ども向けの工作イベント。ペットボトルを短冊のように縦に切りバラして、さらに3センチくらいに切ってからトースターで焼くと、くるんと丸まります。それをビーズのようにつなげてアクセサリーやモビールを作る、という企画でした。子どもたちは手元に夢中になっています。赤青黄色の絵の具、8色そろった油性ペン、思い思いに筆をとりペンを操って、色をつけ模様をつけ、ソワソワしながらトースターの小窓をのぞきます。そうして出来上がったペットボトルビーズを、きらきらした瞳で見せてくれるのです。わたしは、彼ら彼女らの瞳に応えるように歓声をあげます。

「え?それってあまりに理不尽じゃない?」
「怒っていいよ。1回ちゃんと喧嘩しようよ」
仲間と企画したイベント。星が降るような夜、巨大スクリーンをひろげ車のカーステレオから音声を流す野外上映会でした。わたしたちの力だけでは到底成功しえなかったイベントですが、外部の力が加わると、力が強ければ強いほどイベントのかたちが歪んできて、調整に入っていた担当者が悲鳴を上げました。わたしはそれを聞きながら、代表としてイベント当日現場に入って、どんな面持ちでなにを言ってやろうかと考えあぐねていました。

 

1日のうちの出来事です。
陽のあるうちには子どもたちと工作あそびをし、綺麗、素敵と言いながら、陽がしずんでからは大人たちの輪の中で、何をどう伝えれば良いかと唇を引き結びました。
子どもたちに向ける言葉も、大人たちに向ける言葉も、みんなわたしの言葉です。嘘偽りのない、心からの言葉です。だからこそ、どうにもあまりに対極にあるそれらに、座りの悪い心地がしました。