映画って、暗いところで見るものだと思ってた。

秋深まる北海道の左上。
夏から移ろい、グッと寒くなるこの地域で、どの時間帯に最も冷えこむかご存知でしょうか？
布団から重い体を引き剥がす朝、陽が沈みこむ黄昏時、お酒を飲んで帰る深夜…寒さが身にしみる瞬間は数あれど、やはり最も冷えるのは、明け方、陽が昇る瞬間です。
それに気づいたのは、先週末。

最近、お気に入りの休日の過ごし方があります。
仕事から帰ってきて、洗濯して掃除して、溜めこんだ家事を消化したら、休日のスタート。適当に食べるものを用意して、テレビの前にスタンバイして再生ボタン。集中力が切れるその時まで、ひたすら映画を見るのです。
朝方まで映画を見て、それからベッドに入って陽が暮れるころに起きる。せっかくの休日の太陽を浴びず、むしろ少し疎ましく思いながら布団を頭まで引き上げる時、「ああ、休日を貪ってやったぞ」と謎の達成感を得るのです。

煌々と点く室内灯も、明け方陽が昇りきる前に消してしまって、薄暗いなかで見る退廃的なミニシアター系は最高。今週は、函館を舞台にした２０代男女の現代青春ドラマを見ました。
シティーミュージックのかかるクラブをでて、朝焼けのなかおぼつかない足取りで始発の路面電車に乗るシーン、最高。
その時、気づいたのです。
少し寒いな、と毛布をひきあげました。
外の街灯は消えたようでしたが、まだ室内は、窓から入る陽よりテレビのほうが明るくて、テレビがはなつ映画の青い光に染まっていました。

秋深まる北海道の左上。
最も気温が落ちるのは、日の出の時間。
空気がツンとはりつめて、外が白くぼんやり明るくなって、室内灯を消してしまおうかためらう時間。
車がアスファルトを擦る音が増えはじめて、隣の住人がゴソゴソ起きだす音の聞こえる時間。

だから、この時期油断ならないのは布団まわりです。体調を崩しやすい時期となりますので、どうぞ暖かくしてお休みください。