ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

都市は孤独を克服したのだ

個人配信アプリをダウンロードしました。

 

夜、飲んで帰ると部屋がとてつもなく寒くて、火照った身体も溶けた瞼もシャッキリしてしまって、眠れませんでした。思いだしたのは「一緒に寝落ちしよ」なんてCM打たれた個人配信アプリ。携帯ひとつでラジオのように不特定多数へ音声配信でき、チャットによって聴衆とリアルタイムコミュニケーションができるというものでした。

 

深夜1時。

アプリをひらくとスワイプしても足りないほどの人が「配信中」になっていて、各配信者に多くの聴衆がありました。興味本位「配信中」にしてみると、すぐに2、3人の聴衆がついて、お酒の話なんかをしながら2時間弱ほど…「寝落ちしよ」は聴衆側であって、配信者ではなかったのだと気付いたのは深夜3時をまわった頃でした。

 

好きなアーティストが歌っていたのを思い出しました。

 

ビルの明かり 街灯 電飾看板など

ついに都市は孤独を克服したのだ

 

北海道最大の歓楽街・ススキノで飲んだ帰り道。

「またね」と列から離れると、知らない人ばかりが歩道にあふれて、赤信号にせきとめられた波を車が縫って。前後左右から話し声が聞こえるけれど、何を言っているのかはわからなくて、音の洪水に音響信号が素っ頓狂で。

そのなかで、わたしを知る人はただの一人もいなくて。

すれ違うばかりで交わることのない人のさなか、これもまた孤独であろうとアスファルトを踏みしめた記憶があります。

 

でも、個人配信アプリでは朝も夜もなく双方向で言葉がやりとりされていて、求めたときに求めたコミュニケーションがなされていました。物理的に交わることはなくとも、人と人の関係性が成立していました。

インターネットの発達とサービスの多様化によって、ついに都市は、人は、孤独を克服したのだと思いました。

 

花は誰かの死体に咲く

花は誰かの死体に咲く

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