ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

あいちゃん色

久しぶりに会う友だち。顔をあわせて早々、誕生日プレゼントをもらいました。

ネイビーの台座に偏向ラメが光るイヤリング。「ピアスと迷ったんだけど…」というので、髪をかきあげてあけたてホヤホヤのファーストピアスを見せると悔しげな顔。ありがとう。

 

ドライブをして、郊外のおしゃれカフェで話していたら、「あ!なんで忘れたんだろう!」と顔を上げました。ゆるくウェーブがかった髪の先はゴールドに近いくらい明るくて、さあっと窓からの陽光を翻しました。カラーコンタクトをいれて薄い色をした瞳に、エクステで細く伸ばした睫の影がおちて、綺麗。

 

「あいちゃんにあげようと思ったシャドウがあったの」

「どうしたの、色、気に入らなかった?」

「違うよ、買ったんだよ」

 

わたしにとって彼女は、お化粧の先生です。泊めてもらったときには「どれでも使って」とブランドのメイク落としや化粧水、シャンプーをズラリ。だからてっきり、試しに買って合わなかった化粧品のお下がりをもらえると思いました。

 

「絶対”あいちゃん色”だと思って買っちゃった!家にあるから寄ってくれる?」

 

彼女がくれたのは、うるっとした質感の単色シャドウ2色。単色シャドウはどうにも高級感があって、同じ価格でも4色入っていたりするシャドウパレットを買ってしまうので嬉しい。でももっと嬉しかったのは。

 

実は、彼女からのプレゼントはデパートで売っているブランドコスメかと思ったのです。お化粧の先生である彼女は、昨年の誕生日にシンプルな色のブランドリップをくれました。なかなか自分では手がのびないブランドコスメが嬉しくて、今年もどこかで、それを期待していました。

でも、彼女は今年「絶対あいちゃん色だと思った!」と言ってドラッグストアで売っている単色コスメをくれました。離れて暮らす彼女の、入りこむ隙もない暮らしのなかに、ふとわたしが顔を覗かせたということが、何より嬉しかったのです。

 

「あいちゃん色」と称されたシャドウは、今日もしっくりとわたしの瞼を輝かせます。