ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

ギターを買いに行った

新型コロナウィルス感染拡大防止のために外出自粛が叫ばれている昨今、人間考えることは同じで、自宅でできる娯楽の需要が高まっているそうです。ゲームや映画鑑賞、読書はもとより、新たに楽器を始める人も。ということで、ギターを買いました。わたしではなく、妹が。

 

「ギターをやってみたいと思ってて」

3つはなれた妹とは特別仲の良い姉妹ということでもなくて、わたしが大学進学で家を出るまで、顔を合わせれば言わなくていいことを投げつけあっていました。彼女が素敵なワンピースを着ていて、「いいな、わたしも色違いで買おうかな」というと「おそろいが嫌だからやめて」と言われたことは、記憶の奥底で深く根を張っています。けれど、実家を離れたわたしは急激に家族の尊さを思い知って、そこからなんだか、関係がやわらぎました。大学進学のときに1年だけ2人暮らしをして、彼女のおおらかすぎる生活スタイルに辟易したのも笑い話です。

 

「いいじゃん。買うの、ついて行ったげようか」

だから、世間話のようで喉元に何かつっかえたような彼女の話題提供に、深く考えず応えました。翌日、2人で車に乗って隣町の楽器店まで。こういう時の決断力の速さは、わたしが何度指摘してもなおらなかったおおらかすぎる生活スタイルに見る影もありません。

 

ど素人女性2人組にご店主は、マスクごしでもわかるくらいやわらかく微笑んで、色々教えてくれました。お尻のポケットからピックを取りだしてジャカジャカやって、「練習するうちに指の腹が爛れてきて、それがすっごく痛くて、そこで挫折してしまう人が多いです」といって、ギター・ピック・クロス・教本のギター初心者4点セットをすっかりギターケースに詰めて、「諦めないでくださいね」と見送ってくれました。

 

「よかったね、ギター」

「うん、嬉しい」

帰り道はちょっぴり雨が降っていたけれど、妹の足取りがすこぶる軽くて、わたしも、好きな歌がこぼれました。

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「恥ずかしいからSNSとかに貼らないでよ」と言われながら撮った写真。ブログならいい?