ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

コンビニエンス

コンビニでお昼ごはんを買いました。

平日、職場でとるお昼は、家から具だくさんの味噌汁やスープを作ってきて、職場の冷凍庫にストックしているごはんやパンを温めて、おかずが足りないと思ったら魚の缶詰なんかをあけています。最近は横着も効率化され、冷蔵庫に味噌と粉末出汁をストックして、デスクの引出しから乾燥みそ汁の具を出し、お湯を注ぐことで職場ごはんが完成します。

 

しかし、自動車税の納税を迫られ、昼休みを利用してコンビニへ向かったのでした。ひさしぶりのコンビニは、なんだかわくわくします。コンビニエンスストア、通称コンビニ。好都合や便利を意味する「コンビニエンス」を冠する店だけに、生活の最低欲求はコンビニが解消してくれます。

おかず数種とごはんが仕切られた幕の内、いなりや巻物が入った助六、ごはんの上に肉やら魚やら餡やらがのった丼もの、スープやパスタやラーメンもあります。どれも、プラスチックパッケージの向こうでどっしりとした質量に脂をきらきらさせて、わたしを誘います。

端から視線を泳がせて、ついに手に取ったのは、シンプルなサンドイッチでした。

 

好都合で便利なコンビニ飯。「食欲」という最低欲求は満たされるけれど、「食事」に対する欲は満たしてくれません。それはたとえば、好みの味に自炊したり、友だちで集まって大皿の料理をとりわけたり、お母さんが作るごはんだったりといったアプローチが解消してくれるもの。わたしは、コンビニのコンビニエンスでは、到底満足できない欲張りなのでした。

どっしりとした質量や、きらきらとした脂がお腹を満たしても、いまわたしが抱える欲を満たしてはくれないのだと諦めて選んだサンドイッチは、想像どおりの味がして、食後にもう少し何か甘いものなんかが欲しくなって、職場のコーヒーサーバーから頂戴したコーヒーの苦みで流し込んだのでした。