ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

ワクワクするほう

道内各地に父がいます。

経験浅く足を運ぶことだけを繰り返してきたおかげで、本当の娘のように背中を押してくださる方がいます。道東、別海町の父は言いました。

「迷ったら、ワクワクするほうを選ぶんだよ」

ちょうど大学生で、その年から就職活動が始まるというタイミングでの出会いでした。なんとなく大学進学したわたしは、資格や特別好きなことを持ち合わせず、1年後に内定を手にして大学4年生を謳歌するビジョンがまったく見えませんでした。不安から、さまざまな人生選択を経たお父さんの、その基準を尋ねました。

 

わたしは、リスクヘッジが先立つタイプです。

面白そう!と思うと同時に、けれど、でも、しかし、とつづいて、1人で処理できなくなるとすぐに手放してしまいます。だから、瞬間的にワクワクと胸の高鳴りを感じても、それが目に見えて選択基準となってくれることは、ついぞありませんでした。

 

その夜もそうでした。

同年代の仲間で集まって、市民向けのイベントを開催しようという話になりました。このご時世、同年代ばかりで後ろ盾もない、資金も不安と、会議を重ねるうちに逆説が重なって、わたし個人としては、開催を諦める選択肢も捨てきれずにいました。

 

けれど、でも、しかし。

 

その夜がありました。開催可能性をはかるため、実際の会場予定地で試運転を行いました。機材は問題なくうごき、仲間の熱量は衰えることなく、周囲からの声援がありました。

「迷ったら、ワクワクするほうを選ぶんだよ」

ようやく見えました。

諦めるという選択肢は、すっかり鳴りを潜めていました。

わたしは、わたしたちは、ワクワクするほうへ歩き出すのです。

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