ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

もう1本

「初めまして」が苦手ではありません。仕事で一緒になった同年代の人でも居酒屋のカウンターで居合わせた人でも、にっこり挨拶をして、2、3質問をして、そうしていると相手も話の輪に加わってくれるので、あとは楽しくおはなしするだけ。コツがあるとするなら、ただこれだけ、この1つさえ意識すれば、楽しいコミュニケーションが成立します。

「相手に興味をもつこと」です。

 

「リモート飲み会」というのはどうも苦手です。よほど気心の知れた人と、2人とか3人とか少人数で行うなら良いでしょう。でも、それほど理解しえていない人と、画面越しに1つしかないスピーカーでコミュニケーションを成立させるというのは、ずいぶん乱暴な気がします。場を共有していれば利用できた意思疎通のためのツールが削ぎ落とされているのです。相手がかもしだす空気感と、それにあわせて作るべきこちらの空気感とか。場を共有することで生まれる共同体感覚とか。加えて、うまく読めない表情とか声色とか、スピーカーが1つであるために画面上の会話が1本に絞られてしまうとか、コミュニケーションツールとしての気質的な弊害もあります。

「会話」の一本のみで「楽しいコミュニケーション」を成立させるのは、なかなか神経を使います。

 

だからこそ、根本的なコミュニケーションを意識して行うべきでしょう。「相手に興味をもつこと」。興味をもって会話に参加し、話を聞き、話をして、画面上で展開される「会話」を誰しもが担い、成立させるのです。それは、「気持ちの良いリモート飲み会」のためのルールであるといえます。

だからわたしは、リモート飲み会が終わってしんとした自室で、いつも、もう1本お酒をあけるのです。