ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

まだ見ぬまちへ

北海道に生まれて、北海道に育ちました。

出身は太平洋沿岸、大学進学とともに内陸の都市部へ出て、さまざまなところを旅しました。いまは北海道の左上、日本海沿岸に暮らしています。

この週末、行ったことのない地域への旅行を計画しています。

 

道内ほとんどの地域を訪れました。「経験フェチ」なので、「行ったことない」「見たことない」に挑戦したいのです。けれど、これから行くそのまちは、過去どこに住むわたしにとっても遠い場所でした。知り合いはおらず目的もないそのまちに物理的な距離がつきまとって、長年気になりながらも訪れそびれていた場所でした。

 

知らない地域、まだ見ぬまちとは、否応なく胸が躍るものです。なまじ道内各地を見て特徴や空気感を知っているぶん、わたしの知らないそのまちは、どのような特徴や空気感をもっているのでしょう。そこに、どんな経験が待っているのでしょう。

 

「なんだか、北海道の左上に似ていたよ」

「うーん、何かあるようで何もないんだよな」

「夕陽がきれい!え、留萌も?」

人口17万人を超す都市部、開発された街並み、太平洋に面して海鮮が有名、内陸に入ると湿原や湖など豊かな自然があり、アイヌ文化の歴史が深い。

 

話しを聞くうちにイメージが膨らんで、すっかり準備が整いました。荷造りはこれから、整ったのは、気持ちです。

わたしはこの踊る胸の期待とともに、北海道の左上から南へ5時間、山を越え川を越え、村を越え都市を越えて、そのまちへと向かいます。5時間の道のりでさまざまに変わる景色とともに、見知ったまちも初めてのまちも横目にして、目前に太平洋が広がる、その瞬間を目指します。

まだ見ぬまちへ。