ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

祭りが消えた

「たこ焼きの街ってないでしょ!?大阪くらいじゃないすか!大阪とここ、2択にして勝ちにいきましょうよ!!!」

ビールジャッキを片手に、語気を強める彼。

「うるせえよ」

わたしはその言葉を、ビールでぐっと流し込みました。

 

北海道の左上は、お祭り好き。人口が、わたしの地元の半分にも満たないのに、大規模なお祭りが年3回もあります。そのうちのひとつが、今年、なくなりました。少子高齢化とか、担い手不足とか。寂しいなあとは思うけれど、どうすることもできません。

 

わたしは最近、生活費のために居酒屋でバイトをしています。その日もバタバタと働いていると、友だちが、その友だちを連れてやってきました。

「え、ひさしぶりじゃん〜いらっしゃい」

おしぼりを渡しながら声をかけます。

「はい!こいつ、こっちで初めてできた同い年の友だちです!」

彼はわたしより4つ下で、昨年、この地域に転勤してきました。聞くと、彼が連れてきた同い年の友だちとやらも、今年この地域に転勤してきたそうです。

 

「おつかれ!」

22時頃、お客さんが落ち着いたのでバイトのあがりを告げられ、彼らの席に混ぜてもらいます。名前とか出身とか、聞いた気もしますが忘れてしまいました。ただ、なんの話の流れだったか、衰退していくこの地域の現状に、今後どうしていくべきなのか、そんな話になりました。

20代もそこそこの、わたしたちIターン住民が何を、というのは正しい感想です。彼はあと1年もすれば、彼の友だちだって2、3年で転勤していくでしょう。わたしはこの地域に生きることを決めましたが、それでも、地元でもなんでもないこの地域に生涯をかける義理はありません。

 

地域活性とか、移住促進とか、お祭りの存続とか。言うのは自由。結局、誰がどうやって、どれだけ本気でやるかです。