ほとほとの煮物

お口にあうかどうか

かえりみち

夜のかえりみちが好きです。

車を走らせて、道路の脇の民家の明かりを追い越しながら、自宅を目指します。民家には大中小の窓があって、カーテンがひかれていたりブラインドがさがっていたり、夜の明かりを遮るものがなくて蛍光灯や机のライト、タンスや本棚、干したままの洗濯物が見える窓もあります。人の気配を感じながらつく帰路は、あたたかくてやさしくて、楽しい1日の終わりを感じさせる物悲しさがあって好き。

 

お盆です。

北海道の左上 日本海側から、道南の実家に帰省します。仕事終わりに車を走らせて5時間。お盆シーズンなので道が混んでいるかと思いきや、車の流れはスムーズです。盆の入り1日遅れ、午後7時の出発ということが幸か不幸か影響しました。

すっかり陽の落ちた田んぼの真ん中を、南へ。日本海側から内陸に入って、山の間、平地を縫って太平洋を目指します。山の間は田んぼが多くて、広大な畑のなかに農家さんのお家がポツリポツリと建っています。大きな家。窓がたくさんの家。ふだんは、そのうちのひとつふたつがまばらに灯って、人の気配をにおわせています。

 

でも、きょうはお盆。

前庭には4、5台の車が並んで、お家のなかでもひときわ大きな窓に明かりがあって、それはいつもより一層にぎやかに感じられます。

わたしも、はやく帰らなくちゃ。

あたたかくてやさしくて、楽しい1日のお盆の帰省を思って、少しだけ強くアクセルを踏みました。